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11'30(Wed) 偽りの悪魔―予告編
 私はどうして今、ここに存在しているんだろう・・・

「終わりだ・・・浄化されろ」

 どうして今、こんな事をしているんだろう・・・

「クロス様が幸せなら私も幸せなんです・・・」

「・・・有難う」

 すぐ隣にある優しさから逃げていた

 すぐ隣にある温もりに怯えていた


「私は悪魔から身を堕とした哀れな聖職者なんだよ・・・」



 触れてしまったのなら、また堕ちてしまうから・・・



 目の前にあるのは憎しみが渦巻く残酷な世界


「お願い!私を悪魔から救って!!」

「あなたがあの頃よりこんなに遠い存在になってたなんて・・・」

「僕はアイツを奪った君が憎いんだよ?」

「・・・クロス・・・悪魔から堕ちたお前なんかが私に何ができるというんだ??」

 空虚ばかりの偽りの世界

「アハハッ!クロス、あんさんは一体何がしたいんや??」

「俺はあの女に・・・実の母親に捨てられたんだよ!!」

「僕達姉弟は存在してはいけない存在なのにどうしてここにいるんでしょうか・・・」

「私達には・・・悲しい未来しかないの・・・」

 偽りの裏にある悲しい真実

「貴方だけを愛してる・・・だから私のこともあの時のように愛して・・・」

「あの人はクロス様の事をまだ愛しているんですよ。あの人が望んであんなことしたんじゃないと思いますし・・・
それにあなただってまだリセア様を愛していらっしゃるじゃないですか・・・」



「ねぇ・・・クロス様嘘ですよね?どうしてこんな・・・こんな悲しい真実なんてありませんよ・・・」

 それは運命から背いている彼に与えた罰だろうか

「・・・私にはこうしていくしかないんだよ・・・」

 "偽りの悪魔"の背負った運命はとても哀しいものだから・・・
偽りの悪魔





あとがき:
物語り全体の予告です!語りに対して台詞が多いのは月観の策略です!!(。+・`ω・´)
色んな登場人物の台詞をごっちゃにさせました!!
誰が言っているのかクロスとアイリス以外誰が何を言っているのか分からなくしてします!!
ちなみに台詞は後に出てくるものを書きました!
各違う場面に出てくるバラバラの台詞をつじつま合わせて書いただけなのです(・∀・)
少々ネタバレ部分が出てますが・・・まぁそこは今後どうなっていくのか予想していってください('A`)
それで予想できたら月観に言ってみてくだs(ry



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11'26(Sat) In Despair~罪と罰~ 2
「・・・まだ生きてて良かった・・・」

梓はそういうと自分のベッドで大人しく寝付いている少年をじっと見つめる。

あれから・・・
結構小柄な自分が頑張って少年をなんとか自分の家まで運び、傷の手当をさせてから少年は丸3日は眠りに付いたままだった。

まぁ、腹部の傷は相当深かったのだから無理もないか・・・

梓は赤と青の瞳を少し綻ばせると少年の閉じている長い睫毛にかかっている漆黒の前髪を白い指で掻き分けてあげた。

「・・・早く・・・目、開けてね・・・」

そう言うと薄暗い部屋の扉をそっと開けると静かに部屋から去っていった。


この続きはまた今日中か明日くらいにこの記事に追記しますのでお待ちくださいm(_)m
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11'25(Fri) 悲恋歌①―9
今回はめっちゃめちゃエロ気味です!!
小説を見てやろう!!という勇敢なチャレンジャー様は反転してください!!

「・・・ぁ・・・ゆ、優駿っ様ぁ」

澪夜と優駿は椿の香りが鼻を擽るこの部屋の布団でお互いを愛し合っていた。

この部屋には2人の熱く、少し荒く弾んだ息と澪夜の甲高く艶っぽい喘ぎ声、そして布団が擦れ合う音しか聞こえていなかった。

澪夜は合間に来る優駿の口付けを受け取ると、其れに応えるように優駿の首に腕を回したり、優駿の黒とは程遠く綺麗なベージュにも似た色の長めのショートカットの髪の毛の間に指を差し込む。

「澪夜、大丈夫か?痛くない・・・??」

優駿は中性的に綺麗に整った顔の、普段は薄い肌色の頬を赤く灯らせ、少し発汗させながら、少し荒い息遣いで澪夜を心配そうな顔で見つめる。

優駿の瞳に映る澪夜は大きな瞳から、優駿同様赤く熱を帯びている頬へと1筋の涙を流していた。

「・・・ごめっ、んなさぃ・・・何でも・・・ないんです・・・
唯、優駿様っ・・・の体温をこうして感じられたのが何よりも嬉しくて・・・」

澪夜はそう言うと己の手を今は赤く染まっている優駿の何1つない綺麗な頬に持っていく。

優駿は澪夜の言葉を聞くと優しく微笑んで、澪夜の前髪を丁寧に片手で掻き分け、露出された澪夜の額に口付けを送る。

「・・・僕もだよ・・・澪夜・・・今、こうして澪夜と結ばれて幸せだよ・・・」

「わたくし・・・も幸せで・・・あっ・・・」

優駿は澪夜が織り成そうとしていた言葉を濃厚な口付けで塞ぎ、その口付けが終わると、次は澪夜のか細い肩を抱き、透き通るように白い首筋へと口付けを送った。

澪夜はその行動に、更に甲高く声を喘がせた。

―――――――

「ぁあー疲れたー!!」

一樹はそう言うと布団の中にぐるんと身体を潜らせる。

「疲れたのはこっちの方よ・・・」

小さな鏡台の前で、着物を着直して、髪の毛を櫛で丁寧に梳く御苑は鏡越しに布団の中へと潜っていく一樹を見て飽きれて大きな溜息を出す。

「ごめんごめん。ついやりすぎたってゆうか・・・」

一樹は少し引き締まった上半身を布団から出すと、普段は後ろに纏めている肩下まである髪をハハッと笑いながら掻き上げる。
元が結構格好いい一樹のその仕草は更に一樹を格好良く見せた。

「・・・」

御苑は鏡に映るそんな一樹を見るとまたあの時みたいに悲しい瞳になる。

御苑は分かっていた。
一樹は自分を抱いたけど、一樹に抱かれている自分を他の女の影と重ねて抱いていたことくらい・・・

聡美さん・・・

御苑はそう思うと鏡の前で悲しい表情を見せた。
だが、その表情もすぐに消し去り、心の奥底に仕舞い込むようにすると、鏡台の引き出しから包み紙を取り出し、包みを開くとその中で包まれていた白い粉を一気に口の中へと運ぶ。

「あれ?それ、避妊薬やっぱり飲むんだ。」

粉を飲み、一瞬苦そうな表情を見せた御苑を見て一樹は持ち前の笑顔を御苑に見せる。

「当たり前でしょう!コレ飲まなきゃすぐに子供身籠っちゃうじゃない!子供宿したら遊女なんかやっていけないでしょう??
だからここにいる皆は絶対これ飲まなきゃいけないの!!」

一樹のさり気ない一言に御苑は眉をしかめて必死に熱弁していた。
御苑の熱弁に一樹は唯ハイハイと軽く相槌を打つだけだった。

―――――――

「・・・優駿様??」

2人は布団の中で互いの心地の良い体温を感じあうかのように肌を密着させていた。
優駿は少し痩せ型な身体で澪夜を優しく抱きしめている。

澪夜は細くも少し引き締まっている優駿の身体に抱きしめられ、身を委ねていたが、優駿に一声かけると顔を上げ、上目遣いで優駿を見つめる。

「・・・私達、心も身体も結ばれたんですよね・・・??」

澪夜の問いかけに優駿は微笑み、澪夜の頭を優しく撫でた。

「・・・あぁ、そうだな・・・」

「・・・相思相愛なんですよね・・・なんだか凄く幸せです・・・夢なら醒めないで、いつまででも見ていたいです。」

澪夜はそう言うと美しい顔から安らかな表情を見せる。

「夢じゃないんだ・・・今、感じている幸せも澪夜も手離さない・・・」

優駿は澪夜を更に強く、離れないように抱きしめる。

「・・・私も・・・優駿様と繋がっていたい・・・」

澪夜は自分を強く抱きしめてくれている優駿を自分も強く抱きしめ返すと優駿に口付けを送った。


ちょっとメモ:
優駿はクオーターです。おじいちゃんイギリス人。だから髪の色もベージュっぽい茶色で瞳は緑がかった黒です。



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11'23(Wed) 悲恋歌①―8
今回はめっちゃエロ気味です!!
小説を見てやろう!!という勇敢なチャレンジャー様は反転してください!!
「・・・優駿様・・・」

澪夜は目の前に自分と、その横にいる西園寺を冷酷な顔をして見つめている優駿を見ると血の気が引いたように顔が真っ青になった。
優駿は未だに表情を何1つ変えぬまま澪夜を見つめている。

西園寺もまた、澪夜が一心に見つめている優駿を見る。

すると優駿が澪夜に向かってスタスタと歩いてくると、澪夜の腕を掴み西園寺を睨む。

「・・・すみません、今日は僕がこの子を借りていきます。」

優駿は西園寺に冷たく言葉を投げ付けると優駿の突然の行動にあたふたしている澪夜の腕を無理矢理に掴みながら遊郭の中へと歩いていった。
西園寺はそんな2人を見ていることしかできなかった。

「・・・あれ?西園寺じゃねぇーか、久し振りだな。」

西園寺は後ろから声がしたので振り返ると1人の少年とも青年ともとれる後ろ髪を1つに束ねた男が立っていた。

「・・・一樹・・・あぁ、久し振りだな・・・」

西園寺は自分に声をかけてきた一樹に表面上だけの微笑を見せた。
一樹は西園寺によっ!と笑顔を見せると西園寺の隣に寄ってくる。

「しかしお前がまたこんな所に来るとは思わなかったぜ。21歳の財閥の社長さん♪」

西園寺は自分をからかう一樹に少し苦笑する。

「・・・お前ももう19歳だろ?お前ももうそろそろ自分の家を継がなきゃいけないのに遊んでいていいのか??」

「あぁ・・・なんかそんなん言われるけど、俺別にそんなの興味ないし、どうせ継いだら継いだで色々大変だから今をこうして遊んでんの!!それにお互い様だろ?」

一樹はそう言うと西園寺の肩をの上に己の手をポンッと置くが、西園寺はすぐにその手を払いのけてしまう。

「・・・そうだな・・・今日は椿をあの少年に取られたことだ、もう帰るよ。」

「おぉ、そうか・・・じゃぁ家で美人の奥さんを相手してやったら?きっと喜ぶぜ?なんせ、つい最近産まれた子供の世話とかなんやらでご無沙汰だったんだろ??」

一樹の言葉にそうだな、と相槌を打つとその場を去っていってしまった。
一樹は段々遠退いていく西園寺に手を振って見送るが、その顔はさっきまでの陽気で明るい顔とは違って、氷のように冷たい表情だった。

「・・・さて・・・どうするもんかねぇ。」

1人この場に取り残された一樹はうーん・・・と唸っていると、目の前に1人の女が姿を現す。

「・・・一樹・・・??」

「おっ!御苑!!」

一樹は自分の目の前に現れた御苑の姿を確認するとはたまた明るい表情を現す。
御苑はそんな一樹を見るとどこか悲しげな顔を見せた。

「・・・さっき、西園寺さんと会ってたの??」

「・・・あぁ、あいつさ・・・いつからここに来てんの??」

一樹はニッコリ笑って御苑に問いかける。

「・・・昨日ぐらいかしら・・・」

「ふーん・・・あいつ可愛い奥さんと実の息子ほったらかして何してんだろう・・・」

一樹はそう言うとまた冷たい顔を見せた。
御苑はその一樹の表情を見ると更に悲しさを帯びた顔を見せる。

「・・・聡美さんの事・・・まだ諦められないの??」

御苑はそう言うと一樹の着物の袖をキュッと掴み、一樹の顔を見つめる。
いつもニコニコ笑っていているが今は冷たく、何も見せない綺麗に整った一樹の顔が御苑の瞳に大きく写る。

「・・・あいつは聡美の何が足りないんだ・・・?聡美に満たされないんなら何で結婚したんだ?俺の・・・聡美への想いを知ってからか??」

一樹はそう言って可笑しそうに笑うが瞳は未だに冷たいままだった。
御苑はそんな一樹の胸に抱きつく。

「・・・一樹・・・」

御苑は唯、黙って一樹の胸に抱きついているだけだった。
一樹は自分に身を委ねる御苑に吃驚するが、思いつめた表情を浮かべると自分の胸に縋り付いている御苑の顔を上げると、御苑の唇に口付けを送った。

―――――――

「・・・優駿様・・・??」

優駿は遊郭の奥にある澪夜の部屋に辿り着くと、澪夜を強引に部屋の中に入れ、自分も部屋の中に入ると襖を乱暴に閉めた。
澪夜の部屋はいつものように椿の花の香りが鼻をつついた。
部屋の窓からは、夕日がもう沈んで、空が薄暗くなっていくのが見える。

キョトンとした顔で優駿を見つめ、立っている澪夜の顔に優駿の顔が近づいたかと思うと、澪夜の唇が優駿の口で塞がれた。

「・・・ん・・・」

優駿の接吻は最初は触れるだけだったが、今は何度も角度を変えた口付けになっている。
少し息苦しくなって来た澪夜は重ねていた唇を優駿から少し離し、息を吸おうと口を少し開けるとまた優駿の口が重なってくと同時に、澪夜の口の中に冷たく濡れた優駿の舌が滑り込んできた。

「・・・!!!」

突然入ってきた優駿の舌に驚いた澪夜をよそに、優駿の口付けはどんどん情熱的なものへと変化し、澪夜は甘く、乱暴な口付けに酔ってしまっているのか、澪夜から艶っぽい声が漏れ、頬が赤く熱っている。
そして澪夜も優駿に応えるように優駿の首に腕を回し、舌を貪るように探る。

澪夜の部屋には2人の官能的な口付けの音が嫌っていうほど響いている。

「・・・あっ・・・んん・・・」

優駿の長く、情熱的な口付けに酔いしれてしまった澪夜は腰を抜かしてしまったのかガクンと床へと座り込み、頬を赤らめて、荒く息遣いをしている。

「・・・っごめ・・・ン・・・」

優駿も頬を赤く火照らせ、息遣いを赤くしながら、腰を抜かして座り込んでしまっている澪夜の前にペタリと座ると澪夜に申し訳なさそうに謝る。

「・・・いっいいえ・・・いいんです、でも私、こう見えても口付けは初めてで
・・・その恥ずかしかったですが・・・」

澪夜はまだ頬を赤くさせながら、優駿の顔を見て微笑む。

「・・・ごめん・・・自分でもいきなりこうゆう事してはいけないってわかってたんだけど・・・止められなかった・・・」

更に優駿は続ける。

「昨日・・・会えなかって、それで・・・その時澪夜が僕の知らない他の男に抱かれてると思うと、苛々してきて・・・胸が苦しくなって・・・僕も澪夜を抱きたいって思ってしまったんだ。
それでも必死に抑えて・・・でも、今日あの男の人と親しくしている澪夜を見ると感情が・・・爆発して、抑えられなってしまったんだ。」

優駿は申し訳なさそうに澪夜にそう告げると俯いてしまった。
そんな優駿を見た澪夜は俯いてしまった優駿の頬に手を添えて、顔を前に向かせると、大きな瞳から1粒2粒涙を流す。

「・・・嬉しいです・・・優駿様が、私をそう想って下さっているだなんて・・・私もずっと夢見てたんです、愛しい優駿様に抱かれる事・・・
でも、私はこんな身なので・・・優駿様は私なんかに振り向いてはくれまいと思っていたんです・・・
でも、そうじゃなかった・・・嬉しい・・・」

澪夜はそう言いながら、涙を流す。

「・・・澪夜・・・」

そんな澪夜を見た優駿は感極まって澪夜を抱きしめる。

「・・・優駿様・・・」

澪夜は自分を抱きしめてくれた優駿を抱きしめ返す。

「「愛してる・・・」」

2人の声が重なると2人は再び口付けを交わす。
それは、とても甘く、優しかった。



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11'22(Tue) 悲恋歌①―7
大したことはないのですが少々微エロ気味です!!
小説をご覧になりたい勇敢なお方は反転してください!!

窓から夕焼け時の真っ赤な夕日に照らされている優駿の部屋にあるソファーの上に優駿と一樹は座っていた。

「おいおい優駿~、どうしたんだ??何処見てるんだぁー」

一樹は昨日の晩からずっと1日中どこか上の空の優駿の顔を覗き込むと顔の前で手をブンブンと振る。
それでも優駿は魂が抜けてしまったかのように蛻の殻だった。

「・・・どうしちゃったもんかねぇ・・・」

何の反応もない優駿に一樹は大きく溜息を吐く。

「・・・」

あれから優駿は佐和子から逃げるように澪夜のいる遊郭に行ったのだが、

『来てくれたのは嬉しいんだけどさぁ・・・あの子今ちょっと疲れている様なんで今は無理なんだよね・・・
だから明日来てほしいって言ってたよ、あの子』

と別の遊女に澪夜の部屋の入室を断られてしまった。
今までそんな事は1度も無かったので優駿はそれが心の中で引っ掛かっていた。

・・・やっぱりあの時別の男と・・・??

優駿はそう考える胸の奥底でモヤモヤとしたものが襲い、苛々が心の中に募っていく。
同時に澪夜が自分の見知らぬ男に抱かれているかと思うと息が詰まりそうなほど苦しくなる。

・・・僕は澪夜を・・・

優駿は己の掌を広げ、ジッとそれを見つめ続ける。
そして自分の中で澪夜は想像以上に大きな存在なんだと改めて理解する。

己の掌を見つめ続けたままの優駿を一樹は少し心配そうな顔で見ていたが、突然ガバッと立ち上がり、優駿の腕をいきなり掴み、ソファーから立たせた。

「よしっ!!今のお前は明らかに可笑しい・・・こんな時はほら、行くぞ!!!」

今まで上の空だった優駿も突然の事に驚き、戸惑いを隠せずにいるのだが、一樹はそんな事は御構い無しに優駿の腕をグイグイと強引に引っ張りながら今まで居座っていた優駿の部屋から出て行った。

―――――――

「椿ー!!今日の夕日が綺麗ねぇー!!」

御苑はいきなり澪夜の部屋の襖を開けるとお邪魔します代わりの言葉を大声で出す。

「どうしたんですか・・・いきなり・・・」

突然の御苑の訪問に澪夜は大きな瞳を更に大きくさせて吃驚していた。

「まぁなんかまたお呼び出しがあるんですけどーってあれ??」

御苑はやけに顔をニヤニヤさせて澪夜を見ていたが、澪夜はいきなり自分の横を素早く通り抜けてしまった。

「おーい!!ちょっとー椿ー!!」

御苑は廊下を凄い速さで走っている澪夜に呼びかけるが、澪夜はそのまま廊下を走り、段々御苑から遠ざかってしまった。

澪夜は優駿が来るのを心待ちにしていた。
昨日あえなかった分、優駿と沢山の時間を一緒にいたかった。
昨日着きかえしてしまった事を一刻も早く謝りたかった。
何よりも愛おしい人に早く会いたかった。
もうすぐ会える・・・!!

「優駿さ・・・」

澪夜は遊郭の出入り口まで息を切らしながら走ってきたが、何処にも優駿は見当たらず、その代わり、昨日共に過ごした青年が立っていた。

「・・・西園寺・・・様・・・」

「俺のために態々走って出向いてきてくれたのか・・・??」

今、自分の瞳の前には愛おしい優駿ではなく、自分が毛嫌いしている昨日自分を抱いた青年・西園寺だった。
澪夜は目の前にいる西園寺を少々荒く息遣いしながらきつく睨む。

「・・・貴方の・・・ためじゃありません、それに何しに来たのですか・・・」

「・・・相変らず連れないな、椿は。決まっているだろう?また楽しみに来たんじゃないか・・・」

西園寺はそう言うと澪夜の腰上まである色素の薄い髪に軽く触れる。
澪夜はその自分の髪に触れる手を素早く払う。

「昨日の今日なんて・・・貴方の方が貪欲なんじゃないんでしょうか??」

澪夜は嫌みったらしい口調で西園寺に言葉をぶつけた。
その言葉を聞くと西園寺はフッと笑い、澪夜の耳元に己の口元を近づける。

「・・・俺を貪欲になったのは、昨日の澪夜との事が余りにも楽しかったからだよ・・・」

西園寺は澪夜にそう囁くと澪夜の耳元に軽く、接吻する。
澪夜は西園寺の接吻を受けると邪険な顔をして顔をフイッと横に背けると澪夜の顔は強張ってしまった。

「・・・優駿様・・・」

澪夜の視線の先には冷酷な顔をして澪夜とその横にいる西園寺を見る優駿の姿だった。



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11'21(Mon) 悲恋歌①―6
大したことはないのですが少々微エロ気味です!!
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「・・・今日は楽しかったよ、椿。」

青年はそう言うと布団に潜っている澪夜に優しい口調で言う。

「・・・早く帰ってください・・・もう貴方の顔など見たくはありません・・・」

青年の優し気な言葉を澪夜は冷たく突き放す。

「・・・また来るよ・・・」

「早く帰って!!!」

青年の別れの言葉もろくに聞きもせずに澪夜は声を張り上げる。
青年は澪夜の怒りや悲しみがとれる声を聞くと布団に潜っている澪夜に一瞬だけ眼差しを向けるとそそくさと椿の香りがする澪夜の部屋を出て行く。

「・・・うぅ、どうして・・・」

青年が襖を閉める音を確認してから澪夜は声を必死に殺して涙を1粒2粒次々と出して泣いた。

どうして・・・
どうしてこんなに胸が締め付けられるように苦しいの・・・
私は自分が生きていくためいつも通り男に抱かれただけ・・・
たまたま相手が嫌な奴だっただけ、それだけなのに・・・
胸に罪悪感がどっしりと重く圧し掛かっているの・・・

「私を助けてください・・・優駿様・・・」

私の心をいつも諌めてくれる存在・・・
私の心をいつも暖めてくれる存在・・・
私の心をいつも満たしてくれる存在・・・
私に純粋で優しい心を見せてくれる存在・・・
私にいつも優しい微笑を見せてくれる愛おしい存在・・・

「私は・・・あなたが・・・何よりも愛おしいのに・・・」

私の許されぬ想い、抱いてはいけない感情。
神様はこんな私に罰を下されるのだろう・・・

澪夜は本能のままに、泣けるがままに泣こうとしていたが、襖がトントンと2回叩かれる音がしたのに気が付いた。

「椿ー、お疲れ様!!」

襖の叩く音の後に女の声と襖を開ける音が聞こえると、澪夜は今まで布団に潜っていたがゆっくりと布団で胸元を隠しながら上半身を起こし、澪夜は透き通るように白い肌を露にする。

澪夜はまだ微かに視界がぼやけている瞳で部屋に入り襖を閉める女の姿を捕らえる。

「・・・御苑姉様・・・」

澪夜に呼ばれた御苑は神秘的な肩下まである黒髪を耳にかけて、澪夜とはまた違う美しさを兼ね備えた顔から微笑を見せる。

「お疲れのところなんだけど、椿を指名してる人がいるんだけど・・・??」

御苑は畳に散らばっている澪夜の赤く彩られている着物や帯を掻き集めると澪夜に差し出す。
澪夜は御苑に有難う御座いますと一言礼の言葉を述べる。

「あの・・・どうゆうお方なんでしょうか・・・」

「前の・・・ほら!一樹さんと一緒に来てた紳士的な神的な超美少年!!」

御苑の言葉からすると相手は優駿だろう。と澪夜は勘付く。

「でもあの少年ホント美形よねぇ・・・でも西園寺さんも譲らないほどいい男じゃない??其れにさっきまで一緒にいたんでしょう?」

御苑の言葉に澪夜はピクリと反応する。

「それにさっき廊下で見たわよ。あの人、澪夜に興味深々だもんねぇ。
しかもまだ21歳なのによ・・・」

「御苑姉様、すみませんがそのお方の話はなさらないで下さいませんか?
それと私を呼び出してくださっているお方に今日は少し疲れているので宜しければ明日お越しくださいませ。とお伝えいただけますか??」

澪夜は先程まで自分と一緒にいた青年の話しをしだした御苑の発言を無理矢理に止める。
そしてあの男を思い出すだけでも気分が悪くなると云わんばかりの顔を見せる。
御苑はそんな澪夜の様子に少し驚くが澪夜の申した用件を聞くとうん。と頷く。

「・・・そう、じゃぁ今日は休んでなさい・・・」

御苑は心配そうな顔をして澪夜にそう告げると、部屋を出て行った。

「・・・」

御苑が部屋から出て行くのを見送ると澪夜はハァ、と溜息を吐く。
こんな時にあの人に会えない。でも会いたい、あって今の心の苦しさを打ち明けていつものように優しく私に接してほしい、慰めてほしい。
そう心の深い奥底で思っていた。





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11'20(Sun) 悲恋歌①―5
めっちゃ大したことはないのですが凄い微妙な微エロ気味です!!
エロない気味ですが、小説をご覧になりたい勇敢なお方は反転してください!!

優駿は己の部屋に入ろうとしたが、一瞬躊躇ってしまう。
だが、どうせ避けては通れない道と意を決して部屋の扉に手を掛け、扉を開き、自分の部屋の中を確認する。

床には赤い絨毯が敷かれており、大きなベッドに敷いてある掛け布団は丁寧に整えられており、真っ白な壁には1枚の風景画が掛けられてある。

そして部屋の中心にあるアンティークな机の後ろに並んでいるソファーには大和撫子とも言える色鮮やかな着物を着た清楚な少女が座っていた。

その大和撫子は優駿の姿を確認すると瞳を輝かせて優駿の方に駆け寄っていく。

「優駿さん、お帰りなさい・・・」

「あぁ、佐和子さん・・・大分待たせてしまってすまない。」

優駿は駆け寄ってきた大和撫子・佐和子に表面上だけの微笑みを見せて、第2ボタンまで外していたカッターシャツの襟にかけていたネクタイを緩めてベッドの上に腰掛ける。
その佐和子も優駿が座っている隣に腰掛ける。

「こうして会うのも随分と久しぶりですわね。優駿さん。」

そういうと佐和子は優駿の手の上に己の掌を重ねる。

「・・・つい3日前に会ったじゃないですか・・・大袈裟な。」

優駿はそう言うと佐和子に苦笑いをする。
そんな優駿をよそに佐和子は優駿の肩に寄り掛かる。

「でも・・・私達は将来夫婦となる婚約者同士なのですよ?本来は毎日会うべきなのです。」

そう・・・優駿と佐和子は婚約者同士だった。
優駿が18歳になる1年後に正式な籍を入れる約束を交わしている。
だが、それは互いの親同士が決めたことで優駿は全くその気がない。
それに今優駿が想っている人は佐和子ではなく、澪夜だ。
好きな女と結婚だなんて優駿には最悪なのだが、優駿の事が昔から好きだった佐和子にとっては好都合だった。

優駿は佐和子の言葉に少し嫌気が刺したが一応笑って誤魔化していた。

「・・・優駿さん、何かつけているんですか??」

優駿の肩に預けていた顔を上げると佐和子は優駿に首をかしげた。

「??どうしてですか・・・?」

優駿は小動物のように可愛らしく首を傾げる佐和子を見て頭に?を浮かべていた。

「優駿さんから椿の華やかな香りがするんです。とってもいい香りの。」

椿の香り・・・
それは澪夜の部屋でいつも感じる男を酔わせるような魅惑の匂いだった。

「・・・どこかで匂いが移っちゃったんでしょうね。」

優駿はそう佐和子に言って誤魔化した。佐和子はその香りに疑問を感じながらもそれ以上は何も問わなかった。

「そういえば、明後日鹿鳴館でまた舞踏会が開かれるらしいのですが優駿様はどうですが??」

佐和子は優駿の手を思いっきり握って瞳を輝かせていた。

「あぁ・・・僕はいいです・・・」

優駿はそもそも鹿鳴館での舞踏会が嫌だった。
皆が似合いもせぬドレスやキッチリとした盛装を着て、不慣れなダンスを踊り、日本も異国の文化くらい知っているのだよ。と異国人に見せ付けると言うのが惨めで嫌だった。

それに異国人は一生懸命慣れぬことをして精一杯背伸びして異国の文化に追い着こうとしている日本人の姿を明らかに馬鹿にしている。
優駿は幼い頃に1度行ったのだが、どうもそういう雰囲気は嫌気が刺し、あれから1度も何があろうとも鹿鳴館には行かなかった。

「そうですか・・・それは残念です・・・」

優駿の返答に佐和子は残念そうな顔をした。

優駿は己の手に上に乗っている佐和子の手を離す。
佐和子は優駿のその行動に瞳を大きくさせて驚いた。

「・・・そういえば優駿さん、最近冷たいのね・・・」

佐和子はそう言うと優駿を軽く冷めた瞳で見る。
優駿はそうかな?と佐和子にまた表面上だけの優しい微笑みを見せると、座っていたベッドから立ち上がり、部屋の扉まで足を動かす。

「えっ・・・ちょっと、何処へ行くんですか??」

佐和子は扉を開き、部屋の外へ出て行こうとしている優駿に少し大きな声で呼び止める。

「ちょっと散歩に出てきます。」

「ちょっ・・・」

佐和子が止めようとするも優駿はバタンと閉めて今は優駿にとって居心地が悪かった部屋を出て行ってしまった。

優駿の部屋に取り残された佐和子は1人茫然と優駿のベッドに座っていた。

「ホント冷たくなったわね・・・そう言えば・・・」

1人ブツブツと呟いていた佐和子は何かを思い出したかのように言葉を詰まらす。

「首の跡・・・」

佐和子は優駿の首筋に在った赤い傷跡を思い出す。
その傷跡の事を聞いても、ただ口を濁らせるだけだった優駿に佐和子は不信感を抱いていた。
それに優駿が自棄に自分に冷たくなり始めたのもその時からだった。

「・・・まさかあの優駿さんに限って女じゃないわよね。そうだったら・・・絶対許さない・・・」

佐和子は今までに見せなかった鋭い瞳をすると、自分の右手親指の爪を噛み始めた。




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11'20(Sun) 悲恋歌①―4
今回はめっちゃエロ気味です!!
小説を見てやろう!!という勇敢なチャレンジャー様は反転してください!!


「・・・」

「・・・なんだ?これじゃ何も感じないのか??椿は貪欲だなぁ・・・」

澪夜は、愛おしい優駿が訪問しに来る己の広い部屋に敷いて布団の中であの青年に組み敷かれ、思いっきり乱れさせられている。

「・・・あっ!!痛っ・・・い・・・」

澪夜は悲痛にそう叫ぶと自分に組み敷いている青年を思いっきり睨みつけた。
青年は澪夜の自分に対する不快な顔を見るとクスッと笑い、澪夜の頭を優しく撫でる。

「痛かったかい??・・・でも昔よりあまり感じなくなったけど、美しく成長したものじゃないか。」

青年はそう言うと右手の指で澪夜の身体のラインをなぞり、太腿まで指を進めるとその手を澪夜に掴まれる。

「・・・貴方に・・・そう、言われても・・・嬉しく、ない・・・吐き気がするわ。」

澪夜は荒く息をしながら青年から顔を逸らす。

「君は昔より随分気が強くなったね。そういう君も好きだよ。」

青年が冷酷な笑みを浮かべると澪夜の息が更に荒くなり、澪夜から艶っぽい喘ぎ声が漏れる。

「だけど死ぬほど嫌いという男に抱いてもらうだなんて、遊女もよほど快楽なしでは生きられない落ちぶれた女だなぁ。
でも俺はそう言う君が好きなんだ・・・。」

「・・・」

青年の微笑みに澪夜は顔を歪める。

「そういえば4年前、何も知らなかった君に"男"を教えてやったのは誰だ?」

青年は少し発汗しながら澪夜に問いかける。
澪夜は青年の言葉が聞こえていないのかはたまた無視しているのか、青年の問いかけには答えず、声を喘がせていた。

「君を美しくさせたのは?今君をこんなに啼かせるほどの快楽を与えているのは??」

青年の質問になた澪夜は何も応えず、その代わりにきつい睨みを青年に向ける。

「・・・全部俺だろう?まさかその恩を忘れたのか??」

「あ・・・あなたじゃ、ないわぁ・・・それ、に・・・わ・私・・・あぁぁぁあ!!」

「・・・そうか、恩を忘れた犬にはお仕置きが必要だな。」

青年はそう言うと冷たく凍った笑みを澪夜に向ける。
澪夜はその笑みに少し恐怖を感じた。

―――――――

「・・・ただいま・・・」

優駿は澪夜に会いに行っていたが、時間も時間なので大きな洋館の自分の家に帰ってきた。

「お帰りなさいませ、優駿様」

玄関で1人の侍女が優駿に向かって一礼をする。
優駿は侍女にあぁと一言言うと大きく溜め息を吐いた。

優駿にとって住み慣れている我が家は居心地が悪いものだった。
こんな家にいるくらいなら少し恥ずかしい思いをしながらも遊郭街に行き、そこにいる澪夜に会って少しでも長い時間を共に過ごした方がどれだけ幸せか。
そんなことを思う。

「・・・やっと帰ってきたのか。」

優駿は声がした方へと顔を向ける。
玄関の目の前にある螺旋階段を数段降りた口髭を生やした厳格な顔つきをした着物を着る男がそこに居た。

「・・・父さん・・・」

優駿は声の主が己の父だと分かると眉を顰めてバツの悪そうな顔をする。

「いつまでほっつき遊んでいるんだ。」

「・・・あなたには関係ないでしょう・・・」

優駿は父の問いかけに不機嫌そうな顔をする。

「・・・フン。そうか、まぁいい。だがお前はいずれこのでかい宮嬢財閥を継ぐ男だ、それを自覚して考えて行動しろ。」

「・・・」

父の言葉が耳に届いていないかのように優駿はスタスタと家の中へと進んでいく。
父もそんな優駿の不貞腐れた態度を見て呆れたのか、優駿に冷たく視線を向けると螺旋階段を上がってまた2階へと戻っていった。

「・・・あの、優駿様・・・今日はあの方がお見え為さっていて、それで・・・優駿様のお部屋で待っているとか・・・」

先程玄関で優駿を出迎えた侍女は険悪な優駿の雰囲気に戸惑いながらも優駿に用件を伝える。

あの方、か・・・

優駿はあの女が来ているかと思うとまた大きく重い溜め息を吐いた。




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11'20(Sun) 悲恋歌①―3
大したことはないのですが少々微エロ気味です!!
小説をご覧になりたい勇敢なお方は反転してください!!

「澪夜・・・入ってもいいかい??」

「優駿様来て下さったの?お入りになってください。」

2人が出会ってから優駿は週に4回ほどのペースであの澪夜の部屋に通っていた。
別に何をするわけでもなく、ただ話し合うだけだった。
優駿も澪夜もこの2人でいる時間が何よりも楽しかった。

優駿はこの遊郭に通う事に少々照れていたのだが、澪夜に会えると思うだけでそんな感情はどこかに行ってしまった。

優駿がいる澪夜の部屋からはいつも互いの笑い声が聞こえていた。

「・・・私、優駿様とこうやって話せる事が楽しみなのです・・・だから、この時間がとても愛おしいのです・・・」

澪夜が女神のように美しい微笑を優駿に向ける。
それを見た優駿の他の男に劣らない綺麗な顔から優しさ一杯の表情が現れる。

「僕もだよ・・・この時間があるからこそ、毎日を楽しく生きられるんだ。
君に会うまでは毎日がとても嫌で仕方なかったんだよ。」

優駿はそう言うと澪夜に微笑み頭を優しく撫でてやった。
澪夜は優駿の優しい掌を感じると安心した表情を見せ、子供のように無邪気に笑った。

「私・・・優駿様にそう言ってもらえると凄く嬉しくて・・・安心するんです。」

澪夜はそう言うと顔を赤らめた。
澪夜の頬が照っているなんとも可愛らしい顔を見ると優駿も少し顔を赤くさせた。

そんな2人の様子はとても初々しかった。

この時2人は互いに惹かれあっていた。
澪夜は優駿の外見上の劣らぬ美しさだけでない、透き通るように美しく純粋な心。
優駿は澪夜の絶世の美しさはともかく、その心の弱さ、脆さにどこか惹かれ、自分がこの子を守ってやらなければと思った。

だが2人はまだ互いの想いを伝えられずにいた。
澪夜は遊女、想いが通じ合っていても他の男に抱かれなければならないのは事実で、自分は重荷になるだけ。と優駿は思い。
優駿は大きな財閥の跡取り息子、想いが通じ合っていてもこんな自分では必ずご両親が反対する。と澪夜は考える。

財閥の息子と遊女という身分の差が2人を隔てていた。

優駿が澪夜の部屋に来て約2時間が経った。

「・・・あ、じゃぁそろそろ帰るよ。」

今まで畳に座っていた優駿はそう言うとすくりと立つ。

「なら店の外までお見送り致しますわ。」

澪夜もそう言って立つと、店の外へと向かおうとする優駿の横に並んで襖で仕切られている部屋が並んでいる長い廊下を歩く。

そしてあっという間に店の出入り口の前へと着いてしまった。

「・・・じゃぁ、また来るよ・・・。」

「はい。お待ち致しております・・・」

2人は少しの間見詰め合ってい、澪夜が別れの言葉を言うと優駿は澪夜に手を振って遊郭の店を去っていった。
澪夜は優駿の姿が見えなくなるまで手を振り続けた。

優駿の姿が完全に見えなくなると澪夜は1人切な気を帯びた瞳をして茫然と立っていた。

「・・・さっきの少年は誰なんだ?」

澪夜は自分の隣でいきなり聞こえた声に我に返り、声がした方へ振り向くと、瞳を見開いて驚く。

澪夜の瞳に映るのは優駿とはまた違う綺麗な顔立ちのした20代前半といった長身の青年だった。
澪夜は青年の姿を暫らく見つめるとバツの悪い顔をする。

「・・・何しに来たんですか・・・」

澪夜は鋭く青年を睨む。

「決まっているだろう、お前を抱きにきたんだよ。」

青年は澪夜の耳元でそう囁くと澪夜は耳元にある青年の顔を押し返した。

「・・・最近来なくて安心していたのに・・・知っているでしょう?私は貴方が死ぬほど嫌いだって事・・・」

澪夜は青年の顔を見ずに嫌味を吐くと青年は冷たく笑い澪夜の肩を掴む。

「だけど俺はお前がほしいんだ・・・」

その言葉に澪夜は更に嫌気が刺した。




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11'19(Sat) 悲恋歌①―2
大したことはないのですが少々微エロ気味です!!
小説をご覧になりたい勇敢なお方は反転してください!!

「・・・あら、一樹さんじゃない。また来てくれたの?嬉しいわ」

着物を艶っぽく着こなした1人の遊女が一樹の側に近寄ってきた。

遊女からは少しきつい華の香りが漂う。

「あぁ、だけど今日はこいつがあれなんだけどな。」

一樹はそう言うと遊女から隣にいる優駿へと目線を写す。遊女も一樹の目線に合わすように優駿を見る。

「まぁ、これはまた一樹さんより凄い良い男じゃない。あなたならあの子も気に入るわねぇ。」

遊女は優駿の顔を見てどこか愉しげな表情を見せると、優駿の腕を掴んで歩き出す。

「え・・・ちょ、ちょっと・・・」

「大丈夫よ。あの子なら貴方を今までにない快楽を与えてくれるわ。」

優駿は所々から聞こえる女の喘ぎ声がする部屋が並んでいる廊下を遊女に引っ張られながら歩いていく、それと同時にこれから自分の貞操が奪われるのではないかという不安に陥る。

優駿は後ろにいる一樹の方に振り返ると一樹は笑顔で優駿に手を振っていた。

優駿はこの時、一樹を心から怨んだ。

「さぁここよ・・・」

優駿は遊女に連れられ長い廊下の奥にある艶やかな華達が描かれている襖の部屋の前に連れてこられた。

「椿!!今日のアンタの相手来たわよ。」

遊女は襖越しに声をかけると襖の向こうからはい。と応える高くて可愛らしい声が聞こえた。

遊女はこの声を確かめると勢いよく襖を開け、優駿を無理矢理に部屋の中に入れた。

無理矢理に椿の香りがほんのりと漂う部屋に入れられた優駿の瞳に飛び込んだのは広い畳張りの床に敷いてある布団と部屋の隅に置かれてある小さな鏡台。

そして部屋の真ん中にちょこんと座っている今までに見た事がない美しさを兼ね備えた美女だった。

「お待ちしておりました。椿と申します。」

椿は優駿の姿を見るとそそくさと畳に手をつきお辞儀する。

優駿はそんな椿の前に座ると慌てて表を上げるように指示した。

椿は優駿の言う通り面を上げると優駿の目の前には椿のこの世とない美しさが現れる。

背中まであるツヤがよく靡いている色素の薄い髪、凛とした奥二重の大きな瞳に長い睫毛、高く通った鼻筋に小さな鼻、赤く妖しげな唇、白く透き通る肌を包んでいる艶っぽく着こなされている赤い着物・・・椿の美しすぎる容姿が優駿の瞳に焼き尽くす。

それは椿も同じだった。

サラサラと流れる少し長い位のショートカットの髪、二重がくっきりとした澄んだ瞳、すぅと通る高い鼻、少し薄い唇、男にしては珍しい白い肌・・・椿は優駿に魅了していた。

2人は暫らくお互いを見詰め合っていた。

そんな初々しい2人の様子を見て優駿をここまで連れてきた遊女は「御ゆっくり~」と言ってピシャリと襖を閉めてしまった。

遊女がその場を立ったのも気がつかず未だに見詰め合っている2人の間には静寂が続いていた。その静寂の雰囲気を破ったのは椿の行動だった。

「・・・えっ」

椿は目の前に座っている優駿を後ろに敷いてある布団に押し倒すと優駿の着ているネクタイが締められているカッターシャツから覗く首筋に己の唇を落とした。

「ちょ、ちょっと待って!!」

優駿は自分の首筋に唇を這わせている椿を勢い良く引き剥がすと起き上がり椿が唇を這わしていた所を掌で抑えていて吃驚した表情を見せていた。

そんな優駿の様子に椿は頭に?を浮かべていた。

「僕はそんな事をしに来たんじゃないし、無理矢理ここに連れてきただけで・・・」

「え・・・じゃぁ私には何もしない・・・のでしょうか・・・」

椿の言葉に優駿はうん。と頷いた。

「あの・・・すみません。私無神経なことをしてしまって・・・」

椿は掌で押さえられている首筋を1点に集中させて見る。

優駿は押さえつけていた掌をそっと離し、自分の首筋に椿が唇を這わせていた所を指で触れてみるとそこは熱を持っていた。

「いや・・・いいですよ。これだと跡は付きそうだけど・・・」

優駿はそう言って苦笑する。

「ほんと無様な真似をしてしまい申し訳ありません。」

椿はそう言うと深く俯いてしまう。優駿は俯いてしまった椿を「もういいから。」と言って諌める。

「有難う御座います・・・こんな私を諌めてくださる貴方様は純粋でお優しい方なんですね・・・もう穢れきった私には貴方様に触れる資格などないというのに・・・酷い事をしてしまって。」

「穢れている・・・??」

優駿は椿の言葉に疑問を持つ。優駿の言葉に椿はこくりと頷く。

「私は男に抱かれる他、生きている価値などこれっぽっちも御座いません。
ましてや男を糧にして生きているというのも他ならぬ事実なのです。
私は見知らぬ男達に快楽を求められ、それを受け入れ、自分もその快楽に溺れきってしまいました。
昔は好きでもない男に抱かれる事を嫌がっていましたがそれも運命と思い、贖うことをやめてしまい、生きる事に悲観的になってしまっているんです。
もう・・・こんな私はもう身も心も穢れきってしまっているんです。
だから・・・今の私には貴方のような純粋で綺麗なお方がとても眩しく、羨ましく思うのです。」

そう言う椿の表情はどことなく切なく、それでも美しかった。優駿はそんな彼女から目が離せず、悲しい瞳で彼女を見つめる。

「・・・僕は貴方が思っているほどの人間じゃないですよ。其れに・・・」

優駿は椿の透き通るように白い手を取ると、その手を己の傷1つない綺麗な頬に持って行く。

優駿のそんな行動に椿は戸惑いの表情を隠せない。

「貴方は穢れていない・・・本当は綺麗なのに自分の人生に悲観的だからそう思い込んでいるだけじゃないかな。
僕は貴方が穢れているだなんてちっとも思っていないよ・・・それに貴方は充分美しいじゃないか。」

優駿はそう言うとニッコリ微笑んで椿の白く透き通る頬をそっと撫でる。
椿は優駿の言葉や行動にまだ驚いているのか黙っていたが、瞳を少し潤ませ優駿の少し細い胸に飛び込んだ。

「・・・御免なさい。いけない事とは分かっているのですが・・・今だけ・・・今だけこのままでいさせてくださいませんか・・・」

椿はそう言って優駿の胸の中でずっと黙り込んでいた。優駿は最初は驚いていたが、椿の頭を優しく撫で始めた。

「ねぇ・・・またここに来ていいかな・・・??」

優駿の言葉に今まで優駿の胸に蹲っていた椿がフッと顔を上げた。

優駿は顔を上げてきた椿に少し微笑んむ。

「・・・ダメかな??」

「・・・いいえ・・・また貴方様に会えるなんて嬉しいです・・・」

椿は今までにない安らぎの表情を見せた。

「僕は宮嬢優駿、17歳になったばかりだ・・・君の本当の名前は何なんだい??」

「・・・私は神宮澪夜、今年で16歳になったばかりで御座います。」

「澪夜か・・・綺麗な名前だな。」

「有難う御座います、優駿様・・・」

2人は温かく微笑み合った。



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11'18(Fri) 悲恋歌①―1
大したことはないのですが少々微エロ気味です!!
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優駿様・・・

もしかしたらあの出会いはこんな生い立ちの私を哀れんだ神が下さったものなのでしょうか・・・

時は明治・大正時代。日本が大日本帝國と呼ばれていた頃・・・

「一樹さん・・・なんでこんな所に僕達は来ているんですか・・・」

艶やかに彩られている派手な建物が立ち並んでいる通りを2人並んで歩いているいかにも良いとこ育ちそうな紳士的な少年と青年がいる。

「・・・それにここって遊郭街じゃないですか・・・」

少年は隣で楽しそうに歩いている青年に呆れた口調で物言う。

青年はそんな少年の背中をバンッと勢い叩く。

「何言ってんだぁ優駿!お前日頃あの厳つい親父さんや跡取る財閥の事とかで疲れてんだろ?
それについ最近めでたく17歳になったじゃないか!!じゃぁこんな所に来て溜まったモンパァーと出せよ!!」

少年―優駿は一樹にさっき叩かれた背中が相当痛かったのか少し苦痛の表情を浮かべて叩かれた背中を擦りながら一樹を二重がくっきりとした大きな瞳で軽く蔑んで見る。

「一樹さん・・・ちょっと下品だよ・・・」

横でゲラゲラと面白おかしそうに笑う一樹にそう思うも、口にせずに一樹の後を優駿は黙って歩いていた。

「ねぇ・・・坊や可愛いわねぇ、お姉さんが気持ち良いことしてあげようか??」

優駿は通りに立っている色気を放つ遊女達の視線や誘惑の言葉を無視し、払い除けながらも一樹に誘導されながら辿り着いた場所は遊女達が男共を絶頂の楽園へと誘う1軒の店だった。

「ぅ・・・あぁぁあぁ!・・・やぁ・・・やだぁ」

その店に入ると襖で仕切られた無数というほどにある部屋からいろんな女の厭らしく響く喘ぎ声と熱のこもった男の息があちらこちらから聞こえた。

優駿は男女の云々かんぬんを聞いていると気分が悪くなって仕方なかった。

「あぁー・・・固まっちゃってるなぁ優駿。お前には上玉の女用意してんに今からそんなんじゃ困るぞぉ。」

一樹はそんな様子の優駿を見るとニヤリと何かを企んでいる笑顔を見せる。

優駿はそんな一樹の表情に嫌な予感がしていた。

「ねぇ椿、指名入ってるけどもう大丈夫なの??」

1人の女が襖を開けて部屋の中にいる1人の少女に呼びかける。

少女は部屋に置いてある小さな鏡台に向かって乱れた着衣を整えていた。

「そう言えばあんたが相手する男、一樹さんかと思ったけど今日は違うみたい。凄い他の男なんか目に留まらないほどの美少年よ。」

女は口元を手で押さえ小さくフフと笑っている。少女は女を鏡台越しに見ると小さく微笑んだ。

「姉様がそれほど仰るという事は素敵な方なんでしょうね・・・私も楽しみですわ。」

少女は乱れた着衣をやっとの思いで直すと鏡台の引き出しから包み紙を取り出し、その中に包まれていた粉を口の中へと運んだ。




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11'16(Wed) Misfortune Shop's
私はこれからが楽しみで仕方なかった。

だって・・・私を捨てて幸せを見せ付けていたあの憎たらしい彼が不幸のどん底に突き落とされるなんて・・・

そんな事思うだけで愉快だった。

・・・こんな思いができるのもあの時のあいつのおかげかしら・・・??

「・・・ではあなたに不幸をお売りいたしましょう。その代金にあなたの寿命の3分の1を頂きますが宜しいですか??」

ルクスはそう言うとまた得意の笑顔を私に見せる。
こいつ元がすごい美少年だから笑うと凄く可愛いい・・・
じゃなくて!
寿命の3分の1が代金??何それ!?!

「ねぇ・・・なんだか知らないんだけどそれだけで良いのかしら??お金とかはいいの?」

「えぇ、代金は一切要りません。ですが契約が成ると同時にあなたの寿命の3分の1はいただきますが。」

「・・・ならいいわよ。自分の寿命なんか知らないし3分の1ぐらい別にどうでもいいわよ。」

私は寿命が何年縮もうが妙なお金払わなくて済むと思うとすごく気が楽になった。

「そうですか・・・愛琉!」

私がそう言うとルクスは深刻そうな顔をしてから、凄く美人でまだ10代半ばぐらいと若すぎる奥さんの愛琉って人の名前を呼ぶとその人はその声に反応すると部屋にある本棚から1枚の書類みたいな紙を取り出してルクスに渡している。

「有難う・・・」

ルクスは美人の奥さんからその紙を受け取ると私の目の前で奥さんに軽いキスをした。
・・・私の事知ってんだったら目のイチャついてるんじゃないわよ・・・
私はそんな2人を睨みつけていた。
ルクスは私の2人を見る鋭い視線に気付いたのか小さく私に謝ってきた。

「・・・では、コレにあなたの名前だけ書いて下さいしてください。」

ルクスに真っ白な紙を渡されるとポケットの中に差してあったボールペンを取り出して真っ白な紙に自分の名前を書き終わるとルクスに紙を渡す。

「ではあなたに不幸をお売り致しました。」

ルクスは私が自分の名前を書いた紙をしばらく眺めてニッコリ笑うと、手品の様に手に持っている紙をボッと燃やした。

私は突然の事に茫然としているとルクスが私に天使のような微笑を向けて

「契約は完了したので、これであなたにはちゃんと不幸をお売り致しましたが1つだけ守っていただきたいことがあるんですが・・・」

私は口を濁らすルクスを早く言いなさいよ、と言って急かす。
私こうやって焦らされるのって嫌いなのよね。

「絶対、ほんの一瞬でも不幸に堕とす相手に"同情"や"後悔"を抱かないようにして下さい・・・これを破ると大変なことになりますよ・・・??」

「はぁ?私が不幸を望んでる奴にそんな感情抱くと思うの?冗談じゃないわよ!」

私はルクスの言葉に高を括るとルクスは「貴方は大丈夫そうだ」と苦笑した。

「早速明日から貴方が憎む相手は不幸に堕とし入られますが、あなたはそれを見て嘲笑っているだけでいいんですから・・・」

「・・・明日からが楽しみねぇ・・・今日はもう帰るわ!!」

私はそう思うと顔から自然と笑みが毀れてきた。

「なら君を連れてきたその黒猫にまた連いて行って下さい。そうすれば帰れるでしょう。」

ルクスがそう言うと私の目の前にあの黒猫が現れて私の先を軽々と歩いていく。

「フフ・・・明日からが楽しみねぇ・・・」

私はそう言い残すとこの馬鹿でかい洋館から去って行った。

―――――――――

「・・・あの人は失敗しないだろうか・・・」

「・・・さぁ私には分からないわ・・・だけどその方が楽しめるんじゃない?」

「あぁ、あの人間がどうなるか今後が楽しみだな。人間が抱く感情なんか薄汚いものばかりだね・・・」

妖しく満月が輝く光だけが入ってくる部屋の中、男の子と少女の笑い声が響いていた・・・
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11'15(Tue) Misfortune Shop's
※2個下の記事にぁす様へのコメント返し追加しました
 この小説を修正しました

今日は満月が綺麗だ・・・そんな事今の私には暢気に思ってられないわ。

今日は仕事が散々だった。

理由はちゃんと解っているつもり・・・

それにしてもあの2人の幸せそうな姿を思い出す度に頭の中にイライラが募ってくる。

・・・あの2人の幸せをぶち壊してやりたい・・・時々そんな恐い事を思う自分に吃驚した。

そんな事思っちゃいけない。頭の中ではそう言い聞かせるんだけど自分を捨てて他の女の方に簡単に走った男が幸せに居られるとその彼に激しい憎しみを感じずにはいられない。

「あぁーもう・・・なんなのよ!!!!」

電灯と大きく輝く満月の灯りしかない暗い夜道の中でそう叫ぶと私は募っていくイライラや彼に対する憎らしさを消そうとバッグから煙草を取り出そうとした時、私の目の前に黒猫が止まった。

「・・・なんなのよ・・・」

私は彼に対する感情のせいで何の罪もない黒猫をつい睨んでしまう。
だけど睨んでいるうちに黒猫の大きな瞳に不思議と何かが引き込まれていく感じがして意識がどんどん遠退いていった。

―――――――――

「ここどこよ・・・」

ハッと気が付くと目の前には大きな洋館があった。
しかも驚くことに私はその洋館の周りの敷地内に入ってしまっていた。

「・・・どうして??」

私は頭に?のマークをつけて目の前にある大きな洋館をボーと眺めている私の目の前をあの黒猫が洋館に向かって走って行く。

黒猫は洋館の玄関の手前まで来るとクルリと私の方に振り向いて「ニャー」と一鳴きした。
私にはそれがこっちまで来いと言われているようで思わず黒猫の元まで走り、洋館のドアに手をかけて開き、吸い込まれるように洋館の中へと入っていく

「すごいわねぇ・・・」

洋館の中に入った私はその広さに圧倒される。
すごく長い螺旋階段。その螺旋階段につながる2階部分。天井に大きくぶら下がる綺麗なシャンデリア。
いかにもドラマや映画に出てきそうな洋館だ。
そして目の前にある大きな扉。

黒猫はまた私の前に出てその大きな扉に向かって走っていく。
私はまた黒猫の後を追って扉の前に着き、恐る恐る扉に手をかけギィと音を立てて開く。

その扉の部屋の中は書斎なのか明りは大きな窓から入ってくる月の明りしかなく、本棚が部屋の隅に並んでおり、中心にはソファーが並んでる。
大きな窓の前には何本か本が立ってあるアンティークな大きな机と立派な椅子があって、その椅子には後ろの窓から差し込む月明りに照らされてスーツを着ている少し癖のある茶色の髪と翡翠色の瞳の男の子が座っていていた。
その横にはミニスカートの着物を着て腰にエプロンを付けている腰下まである黒髪とワイン色の瞳を持つ少女が立っていた。

私には月明りを浴びている少年と少女がすごく妖しく見えてしまった。
しかも男の子は私でもすっごい美少年と思うほど可愛らしさで、少女は絶世の美女と言えるほどの容姿だった。

「・・・待っていましたよ・・・山中悠子さん・・・」

私はしばらく2人の美しさにボーっと眺めていると美少年の方がにっこりと笑って私に話しかけてきた。
えっ?なんで私の名前を知っているの・・・私はそう言わんばかりの顔をしていると男の子は立ち上がって私の方へ歩み寄ってくると私を見てニッコリと笑いかけてきた。
その顔がとても可愛らしかった。
ってゆうか以外と背低いなぁ・・・この姿からすると13・14歳くらいかしら・・・私はそう暢気なことを思っていた。

「僕は貴方を待っていたんです」

「・・・どういう意味よ・・・ってゆうかなんであんた誰?なんであんたが私の名前知ってんの?」

美少年の言葉に意味が理解できなく私はバツの悪そうな顔をして美少年の顔を見る。

「申し送れました、僕はこのMisfortune Shop'sの店長・ルクス。そしてあそこにいるのが僕の助手で妻の愛琉」

ルクスと名乗る男の子がそう言うと愛琉って美女がペコリと私にお辞儀をしてきた。

「つ・妻ぁ?えっ!?あんた達結婚しちゃってんの??」

こんなまだ法律で認められる結婚してもいい年齢に達してなさそうな2人がぁ??
私は2人を交互に見ていると美少年は、はい。とすごい笑顔で美女を見ると美女は美少年に不器用に微笑み返してた。
・・・こんな餓鬼もこんな事言っていられる時代になったんだぁ。そう思う反面妻だの結婚だの聞いていると無性に苛々してくる。

「・・・ねぇ、ルクスって言ったよね?店長とかってここなんかの店なの?」

私はルクスって言う男の子の言葉を思い出して、そう問うとルクスは私を見て綺麗な顔をニッコリさせた。

「ここは不幸を売る店ですよ・・・」

不幸を売る店??そんなもの売ってるわけないじゃない・・・私は心の中でそんな胡散臭さに笑っていた。

「貴方は他人に不幸を望んでいる・・・だからここに来たんでしょう。」

私はルクスの他人に不幸を望んでるって言う言葉に胸に矢か何かが刺さった感覚がした。いわゆる図星?ってやつかしら・・・

「でもねぇ・・・私は自分の意思で来た訳じゃないの!いつの間にか来ちゃってたの!!唯それだけの事よ・・・」

私は腕を前に組んでルクスの台詞にフッと鼻で笑った。
そんな私はにルクスは部屋にあるソファーに座るように勧め、私も言われるがままにソファーに座り、私の前の席にはルクスが腰掛けた。

「ここに来る事は貴方の運命だったんですよ。だから僕はあなたの事なら何でも知ってますよ。」

「・・・ここに来る事が私の運命・・・??だから私の事も何でも知ってるって何よそれ!!」

私はルクスの口から出てきた言葉に不快感を感じた。

そんな私にルクスはさっきまでとは違った表情を見せる。

「・・・山中悠子さん4月4日生まれの23歳B型。大学卒業後から阪枝出版社に勤務。年下の短大生天木勇輔さんと交際していたも彼が貴方以外に好意を持っている女性と結婚するのでつい最近ってゆうより今日ですね、破局。・・・それで自分を捨てた彼を憎んでいる。」

ルクスは私にそう言うと今までに見せなかった笑みを見せる。
その笑みは私に恐怖を与えた。いや・・・笑みだけでない私の簡単なプロフィールを当てたこと。
そして私が付き合っていた彼に今抱いている感情を言い当ててしまったこと・・・

「貴方は今一人の人間に激しい憎悪を抱いてます。今の貴方には不幸を買う価値がありますよ・・・それで貴方はその人間を不幸に堕とし入られます・・・」

私はその言葉に可笑しく思いながらも興味を示す。
私の心は確かに彼を憎む気持ちで一杯だ・・・

「あら、面白そうじゃないそれ。確かに私は勇輔が憎くて堪らない。・・・けど本当にそいつを不幸にできるのかしら・・・??」

「えぇ・・・確実にね。その勇輔さんに悠子さんが歓喜の笑みを溢さずにはいられないほどの不幸が与えられますよ。」

私の質問にニッコリと微笑むルクスに私は思わず屈折した笑みを見せる。

「いいわ・・・買ってあげるその不幸ってやつ。」

私の心はもう決まった。

あの男を必ず不幸のどん底に堕としてやる。

そう思うと笑いが止まらなくなった。

「お買い上げ有難う御座います。」

壊れたように笑い叫ぶ私を見てルクスはそう言ってニコッと笑った。
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11'15(Tue) Misfortune Shop's
人に憎しみや恨みを背負う者は黒猫に連れられて不幸を売る店に連れて行かれるんだって。

そしてそこで不幸を買うと憎しみや恨みを抱く相手を不幸のどん底に落としいられることができるんだって・・・

素敵じゃない?大嫌いな相手がどんどん不幸になっていく所・・・

「えっ・・・今なんて言ったの・・・??」

入社1年目で今が仕事の頑張り時で忙しく仕事している最中に今付き合っている年下の彼にこんな小洒落た喫茶店にいきなり呼び出されて、さっきまで何の用?と愚痴を洩らしていたけどまさかそんな事を言われるなんて思いもしなかった・・・

「だから別れよう・・・」

私の彼はそう言いながらストローでさっき注文して届いたクリームソーダーの中をグルグルとかき回している。

注文するのがクリームソーダなんて彼らしい・・・

私はそう思いながらも少し焦りを感じていた。だけど彼にはそんな素振りは見せない。それが私なのだから・・・

「・・・何??悪い冗談やめてほしいんだけど。私短大生のアンタと違って今仕事で忙しいの、じゃぁもう帰るわ。」

私はそう言うと自分の座っている席の横に置いていたハンドバッグと上着を取って席から立とうとすると彼が私の腕を掴む。

「待てよ!冗談じゃねぇんだよ!!」

分かってるわよ・・・あんたの瞳本気だもん。でけど今の私にはそのあんたの瞳が怖くて悲しく感じる。だけど私は強がって彼にこう切り出した。

「・・・どうして別れたいの?正直に理由を言って頂戴。じゃぁ別れてあげてもいいわよ・・・」

本当は可愛いあんたを手放したくなんかないんだけど私は強がりだからついこう言っちゃった。

「・・・ ・・・」

「何?理由ないの??」

私はだんまりな彼に苛立ちを覚えだした頃彼が口を開いた。

「・・・結婚・・・結婚するんだ・・・俺」

彼の言葉に私は一瞬身体中の血の気が引いたような気がした。

「・・・はぁ?あんた正気なの?私以外に誰か相手でも居るの??それにあんたまだ短大生だし・・・はっ!笑っちゃいそうよ!!」

その逆、ホントは涙が出ちゃいそう。

「・・・俺さぁ悠子さん好きだよ?でも他の女の子に告られてその・・・ノリで付き合って、最初は俺には悠子さんもいるし軽い気持ちの遊びだったんだけど段々好きになっていって、それでその子さぁ・・・俺の子供妊娠したらしいんだ・・・」

あぁ、もうダメ・・・涙、出しちゃっていい??

「それで結婚するんだ・・・俺」

私は頭を金槌か何かの鈍器で殴られた衝撃が走った。

妊娠??結婚??何・・・俗に言うできちゃった婚??
良かったね、私が教えてあげたこと彼女に喜ばせることできて。
私への愛情より孕んだ女への同情なんだ。
あっ!!そういえばこれって浮気されてたって事よね?私への愛情なんかあったのかしらこの坊やに・・・
それもそうか・・・こんな気の強い年上の女なんかもう飽きて若くてピチピチした方へ言っちゃうんだぁ・・・
そう言えば猫は恩知らずって言うしね。あれ?猫でいいんだっけ??

私の頭の中にはワケの解らない言葉でいっぱいだった。

そしてとうとう言っちゃった・・・

「・・・いいよ、別れてあげる。アンタみたいな手癖の悪い男と別れられて清々するし。じゃぁもう2度と逢わないでね、じゃぁどうぞお幸せに。さよなら」

私はそう言うとガタッと音と共に席から立ち上がり、カツカツと靴音を立てながら乱暴に店を出て行ってやった。

強がりな私はまた心とは反対のことを言っちゃう。ホントは別れないで、私の側に居て。でも言って甘えたかったと後悔した。

せめて・・・最後に「今まで君と入れて楽しかったよ」って言うべきだったかなぁそう思うといかにも自分の心が貧しいか凄く解かる。
最後だけはカッコつけてやろう、その言葉言ってやろうじゃない!私は心の中で決心すると店にいる彼の元に戻ろうと後ろを振り向く。

・・・そんな事思うんじゃなかったよ

私はすぐにその行動に後悔を感じる。

私の目線の先には店を出た彼、と唯でさえ私より少し背の低い彼より小さく、少し出ている腹が目立つすごく可愛らしい女の子が笑い合って腕を組んで歩いていた。

「・・・美男美女カップルかぁ・・・」

そう思うとなんだか腹立たしくなってきた。そう思う自分にもっと腹立たしくなった。
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11'14(Mon) 偽りの悪魔①―9
「クロス様ぁ!!」

アイリスがガチャッと威勢よくドアを開け、部屋で寛いで本を読んでいるクロスに駆け寄っていく。

アイリスの手には白い封筒があった。

クロスは読んでいた本を机の上に置き、自分の横に寄ってきたアイリスに顔を向ける。

「・・・どうしたんだ・・・」

クロスはすぅとアイリスに微笑む。

クロスのその微笑みにアイリスは少し顔を赤く熱らす。

「あっあのねっほら!リサさんから手紙来たよ!!」

アイリスはそう言うと手に持っていた白い封筒をクロスに手渡した。

クロスはアイリスから手渡された封筒を開封し、中身を確かめる。

封筒の中には1通の手紙と結構な札束が入っている。

クロスは封筒の中に入っていた札束を取り出しハァと溜息を吐く。

アイリスは溜息を吐くクロスの手元にある札束を見てニコニコと笑顔を向ける。

「良かったじゃないですか、今回も報酬たっぷりですね!!」

今回も・・・そう、人によって様々だが、クロスの悪魔退治で助けられた人達はいつも結構な量の札束を悪魔退治の報酬として送ってくる。

一般の人は喜ぶだろう事がクロスは密かにその事が悩みになっていた。

「まぁいいじゃないですか、貰えるものは素直に貰っちゃえばいいんですって」

そんなクロスをよそにアイリスはクロスから札束を取り上げてにこにこと枚数を数え始めた。

クロスはアイリスを見て少し苦笑する。

「うわ!結構ありますね、これ。さすがリサさんはお金持ちですね。」

アイリスは札束を数え終えたのかそれを机の上に置き、クロスの顔を覗く。

「・・・でもホント良かったですね、お父さん生きてて・・・」

アイリスはそう言うとホォとした安らぎいだ顔をする。

そう・・・あの2人の父はちゃんと生きていたのだ。

あの悪魔が浄化された後、悪魔と共に消え去ると思われていた父の身体がそこに残っていた。

だが魂が全て喰われてしまい、もうダメだろうと思いクロスはその身体に近づくと・・・まだ生きていた。
微かにだがちゃんと息をしていたのだ。

「・・・奇跡としか言いようがなかったな・・・」

父を思うリサの想いだろうか・・・はたまた何か別の想いなのか・・・
きっと何かに守られていたんだろう。

「・・・だが、まだ魂が喰われたりと痩せ衰えたりと障害があるからまだ回復には時間はかかるとは思うけど・・・」

クロスがそう言うとアイリスはグッと背伸びをして

「でもいいじゃないですか!今はお父さんがいれば幸せなんですよ。きっと!!」

アイリスはニッコリとクロスに笑いかける。

「リサさんはともかく悪魔に取り付かれていたなんて思ってもなかったアリスさんはどうか知りませんけど。」

アイリスはそう言うとさっきは見せていた笑顔から少しムッとした顔を見せた。

クロスはアイリスを見て少しながら笑いかけた。

<ちょっとしたおまけ>
クロスは封筒の中に入っていた手紙を読みながら微笑していた。

アイリスはそれが気になってクロスが手紙を読み終えるとクロスから手紙を貸してもらい自分も読む。

 クロス様、アイリスさん。
先日はどうも有難う御座いました。お元気しておりますでしょうか?貴方達の御怪我で父の体調も前とは比べものにならないほど元気に回復し、今はちゃんと自分の事業に戻っております。私もこれからはちゃんと前を見据えて生きていこうと思います。
貴方達には感謝の意を表さずにはいられません。
今回はどうも有難う御座いました。その中に同封している物は感謝の気持ちです。どうか受け取ってください。
 リサ=アンディーク

 クロス様
今回の件はどうもお世話になり有難うございました。
妹から聞きました。私はその時の事は何もかも覚えていませんが、クロスさんの素晴しい勇姿はちゃんと理解しました。
少ししか一緒に居られる時間はありませんでしたが、また今後もお付き合いどうぞよろしくお願いいたします。
またこの件のお礼に食事でもいかがでしょうか?良いお返事を待っております。
 アリスvv

「・・・うがぁーーー!!」

アイリスはアリスのメッセージをしばらくは黙って見ていたが最後までそうはいかず、手紙を勢いよく破ってしまった。



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11'13(Sun) 偽りの悪魔①―8
突然のリサの大きな声にクロスは後ろを振り返る。

「・・・どうしたの・・・リサさん」

リサの横に居たアイリスはどうしたのと言ってそうな顔でリサを見つめる。

「・・・確かに・・・私は悪魔退治をあなたにお願いしました。だけど・・・その今いる悪魔は父です・・・」

確かに今そこに居る悪魔は父の身体から変形したものだ。しかも腕をクロスに斬られてしまっている。リサは黙っては見ていられなかった。

「私も・・・その悪魔には一刻も早く消えてほしいです。けど・・・それじゃぁ父は・・・どうなっちゃうんですか・・・」

リサはその悪魔が消えると同時に父も消えてしまうんじゃないか。そういう思いがしてなかった。

「・・・リサさん。前にも言ったと思いますがあなたのお父さんは多分もう魂をこいつに喰われてしまっている・・・それに今のお父さんの身体のこいつの姿でもお父さんの姿の時でもお父さんの魂の一欠けらの気配がないんだ。その証に魂の亡くなった君のお父さんの身体はこの悪魔の意のままだ・・・
・・・だからお父さんはもう死んでいるも同然なんだ・・・。も2度とは返っては来ない・・・」

「う・・・嘘・・・嘘でしょ??ねぇ・・・嘘って言ってよぉ・・・」

クロスの言葉はリサにとって悲しい宣告だった。

もう父には会えない・・・そう思うとリサは心が押しつぶされそうな思いだった。

【クッ・・・ガハハハハハハハハハハハ!!!】

すると悪魔が下品な笑い声を上げだした。

クロスが悪魔を睨む。

「どうした・・・お前のせいで悲しんでる人間を見て可笑しいか・・・??」

【アァ!可笑シクテ腹ガ壊レルクライ笑ッテシマイソウダヨ!!!ソウダ聖職者ァ!オ前ノ言ウ通リ、コノオレガコノ女ノ親父ヲ喰ッテヤッタンダゼ!!シカシホント面白イヨナァオメェラノ親父ハヨォ!!】

そして悪魔は更に続ける。

【ドコデ知恵身ニ付ケタンカ知ラネエケド、オ前等ノ御袋死人トシテ生キ返ラセヨウナンカ考エヤガッテサァ・・・ソコヲオレガ親父ノ魂ト引キ換エニ手伝ッテヤルッテ言ッタラ騙サレテルノモ知ラネェデ易々ト手ェトッテサ・・・馬鹿ジャネエノカ?シカモソノ御袋殺してヤッタノオレダッテ分カリモシナイデサァ・・・】

「えっ・・・今なんて・・・」

リサは悪魔が言ったことを聞き逃さなかった。それはクロスもアイリスも同じだった。リサの顔には驚きの表情が滲み出ていた。

悪魔はククッと笑い、血がボタボタと威勢よく流れる右腕を左手で押さえながらリサの方を見て発言を続ける。

【アァ、ソウサ・・・オ前ノ御袋ハ確カニオレガ殺シタンダヨ!オ前ラミタイナ幸セ家族ナンカ見テルト苛々シテクンダヨ、ダカラ悪戯シテヤッタンダヨ!マァ、オレガコウナル事ニナルトハ思ワナカッタケド】

「どうして・・・どうしてこんな・・・」

悪魔の言葉にリサは絶望した。この悪魔は私から父を奪い、母までも奪っていたなんて思うと悲しさや悔しさや憎らしさや色んな感情で胸が一杯になってきた。

「・・・あんたほんと酷いね・・・」

アイリスは怒りの眼差しを悪魔に向けそう言うと悪魔はニタァと嬉しそうな顔をして笑う。

【オレハ悪魔ダカラ・・・ナ!!!】

そう言うと悪魔は目の前で佇んでいるクロスに片一方しか無くなった大きな左手を縦に凄いスピードで振り落とす。だがクロスはそれを軽々と片手で止めた。そして悪魔を蔑んだ赤い瞳で見る。

「・・・D級の風情が・・・お前はとことん醜い奴だ・・・そういう奴は早く消えろ。」

そしてクロスは悪魔を見ている大きい赤い瞳が妖しく光る。

【・・・ッ!!!】

悪魔はクロスのその瞳を見て初めて恐怖を覚え、身体が竦んで思うように動かなかった。

【クッソォ!ナンデコノオレガ聖職者ナンカニ気圧サレテルンダァ!!】

悪魔はそう叫ぶと右足でクロスを蹴ろうとした瞬間悪魔の腹にグサリとクロスの十字架の剣が刺さり悪魔は動けなくなり、そこからまた赤黒い血が流れたしてくる。

「・・・終わりだ、天国に逝ってこい」

【ギャァァァアアァァァァアアァァァアアアアァァ】

クロスが一言そう言うと悪魔は悲鳴を上げ跡形もなく消えていった。




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11'13(Sun) 偽りの悪魔①―7
【・・・聖職者・・・ダト・・・??】

姉妹の父の口から繰り出される悪魔の声が静かに響く。

「・・・あぁ、今からお前を浄化する・・・」

そういうとクロスは鎖と繋がる十字架の形をした真っ白い剣をカチャッと音を鳴らした。

【・・・聖職者カァ・・・オ前達ハ不味クテ嫌いナンダガ、ドノ人間ヨリモ引キ裂キヨウガアッテ最高ダヨ!!】

悪魔はそう言うと、父の姿から異形のモノの形へと変化させる。

その姿は瞳孔が開ききっており、背には大きな蝙蝠が持つ羽、口からは氷柱のように鋭く尖った歯と次々に床へと滴り落ちる唾液を向き出しにさせ、異様な程の掌と足、またそこから痛々しく見せる爪が生えている。

まさにこの世のものとは思えない姿だった。

「ぅ・・・や、嫌ァ・・・」

リサは父の身体がこんなにも醜いバケモノになっていく様を涙を溢れ出しながら見ていた。

【ヤッパリオレハ、コッチの姿ノ方ガイケケテ好キダ・・・ソレニコンナニモ軽々ト動ケルゾ・・・トッ!!!!!】

悪魔はそう言うとクロスの方へと飛び込み、クロスまであと数センチ近くというところで右手で拳を作り凄いスピードでクロスの方へと突き出してくる。

しかしクロスはフラッと悪魔の繰り出してきた拳を意図も簡単に交わしてしまう。

悪魔はクロスに攻撃しようと速めたスピードの制御が出来なかったのかそのまま壁にドゴッと音を立ててクロスに決めるはずのパンチを決めてしまった。

【オイオイ、避ケルトハ聞イテナカッタゼェ・・・】

悪魔はそう言うと壁に思いっきり減り込んでしまった巨大な右手をガラッと外すと右手首をブンブンと何回か振った。

「お前の程度はその位か?所詮はE級から成り上がりたてのD級だな・・・」

クロスは悪魔を馬鹿にしたような口を叩くとフッと笑う。

【・・・馬鹿ニシタヨウ態度トリヤガッテ・・・殺ス!潰シテヤル!!】

悪魔はクロスの挑発に乗るといきなり耳の鼓膜が破れそうなほどの叫び声を上げながら手をシュッと上げ勢いよくクロスの頭上に手を振り下ろす。と同時にドーンという地響きにも似た音が広い屋敷に大きく響き、悪魔の周辺に煙のようなものが立ち込める

「・・・クロス様・・・クロス様ぁぁああぁ!!」

リサはクロスの生存を確かめるかのようにクロスの名を叫ぶ。

「リサさん・・・大丈夫だよ・・・」

するとリサの目の前にあのまま気を失っているアリスを重たそうに背負うアイリスがいた。アイリスは背負っているアリスをリサの横へ寝かすとすくっと立ち上がる。

リサはえっ・・・??とアイリスの方を見上げると、アイリスはリサにニッコリと笑う。

「まだまだだよ・・・??これからが1番の見所なんだから・・・」

アイリスはリサにそう言い聞かせると煙が立ち込めるところを強い眼差しで見据える。

【クク・・・アーアー潰レチャッタ?オレノ事悪ク言ウカラコンナコトニナルンダヨー自業自得ジャン】

悪魔はクククと笑いながら自分の振り下ろした手の先を見ていた。

「誰が潰れたんだ??」

悪魔はハッと後ろから声が聞こえたのに気付き、振り返ろうとした瞬間ザンッという音と共に悪魔の右腕は胴体から切り離され、そこからは大量の夥しいほどの赤黒い液体が血のようにボタボタと勢いよく流れてくる。

【グァアァァァアアアァァア!!キ・貴様一体何ヲスル!!】

悪魔が向けた視線の先では顔に少量の悪魔の赤黒い血が付いたクロスが顔とはまた違い悪魔の血が大量に付着している真っ白く、鎖がついてる十字架の剣を真っ直ぐに構えていた姿があった。

「私もお前に遣られっ放しじゃダメだろ・・・??」

そう言うとクロスは冷たい微笑を悪魔に向ける。

【クッソォ!嘗メヤガッテ!!】

悪魔は今すぐにでも攻撃したい所だがクロスに右腕を斬られたため痛みが身体中を駆け巡りそれ処ではなかった。

そしてクロスがその隙をついて悪魔に攻撃しようとしたその瞬間・・・

「待って・・・待って下さい!!」

突然後ろからリサの大きな声が聞こえた。



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11'13(Sun) 偽りの悪魔①―6
私は優しい父が大好きで誇らしかった・・・

母が亡くなって気落ちしている自分を励ましてくれたのは父だった。

時々その励ましに苛立ちを覚えたこともあった。

どうして?

どうして自分の妻が亡くなったのにどうして貴方は気丈でいられるの?

励まされる度に父に感謝する反面そういう思いが私の胸の中に募っていく。

そして私は父にこう言った。

「あなたは愛する人を亡くしたというのにどうしてそんなに平気でいられるんですか??もしかして母が死んで清々したんですか??」

こんな事を言った私はバカだと思う。今でもこの言葉を言った事に後悔の念がある。

私がそう言うと父は凄く悲しい瞳で私を見てこう言った。

「違うよ。いつまでも悲しい顔なんてしてはいられないだろ。悲しみを失くすことで天国へ逝ってしまった母さんを悲しませないんだ。それは母さんのためにもなるんだよ。それにいつまでもそんなにしょげていたって母さんが戻ることは2度とないんだ、だからせめて母さんの死を乗り越え笑顔を見せていた方が天国の母さんも安心するんじゃないか??」

だけど・・・

そう言っていたあなたが1番心の奥底に深い悲しみを背負っていたんですね・・・

「お父様・・・」

急いで姉の悲鳴のする元に駆けつけたリサはただ茫然と立ちすくむだけだった。

嘘・・・自分の今見ている光景は全部私の幻覚に過ぎない。これもまた夢なのよ・・・

リサは今にも泣きそうな顔で嫌嫌と首を横に振るだけ。

お願い・・・誰か夢だと私を目覚めさせてよ・・・

脳裏にあの時の、あの場面がプレイバックする。

嫌よ・・・やめて・・・

「いやぁぁぁあああああぁぁぁあぁぁぁぁぁああぁ」

「どうしたんだ!!」

リサの叫び声と共にクロスとアイリスがリサの下に駆けつけた。

そしてクロスは座り込んでしまっているリサの肩支え、リサが怯え見る視線の先に目を向ける。

するとそこには先程まで車椅子に座っていたはずの痩せ衰えている姉妹の父が実の娘のアリスの首を片手で持ち上げている姿だった。

父の手の中でアリスはグッタリとしていた。

父はリサの叫び声に気がついたのかこちらの方を見てニタリと気分が悪くなるほどの不敵な笑みを向け、今まで持ち上げていたアリスを床に叩き落す。

「ァ・・・嫌ぁ・・・」

自分の父のこの世のものとは思えない不敵な笑みを見てリサは気が動転していた。

あまりにもその笑みは父を襲っていたあの黒い影と全く同じだったから・・・その笑みに吐き気さえもしてしまう。

「アリスさん・・・!!」

アイリスはそう言って床に叩き落されてしまったアリスの元へ駆け寄ってく。

まさか・・・そう思ってアイリスはアリスの胸元に耳を傾ける。

ドクン・・・ドクン・・・

それは弱々しかったが確かに動いている事を確認してアイリスはホッと一安心した。

だがその安心もすぐに失せてしまう。アイリスはあろう事か己の娘を手にかけようとしていた男の方を見る。
                       .....
そのアイリスの横にクロスが立っており、2人の父であった男を睨んでいた。

【クッ!ナンダ・・・折角ノオ楽シミヲ邪魔シヤガッテ・・・】

クロスの睨みの効いた赤い瞳を見て父はクックと笑い、ドスの聞いた2重の声で喋りだした。

「・・・矢張りお前はもうその男の魂を喰い、その身体に乗り移っていたのか・・・」

クロスがこのハ場に相応しくない冷静な声で男・・・男の姿をした悪魔に問いかける。

【ククク・・・ナンダオ前、知ッテタンダ・・・一体何者ダ??】

その悪魔の問いかけにクロスはフッと笑い、上着の内ポケットに潜ませていた鎖の付いた十字架を取り出す。

「・・・今からお前を倒す聖職者だ・・・」

クロスがそう言うと持っている鎖の付いた十字架が瞬く間に光りだし、真っ白に輝く剣の形に変形した。



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11'09(Wed) "敵同士の二人に5つのお題"―In Despair~罪と罰~
※ネタバレ要素と大した事ないと思われる大人向け要素があります。
読んで不快な思いをされても責任は取れないのでホントに見たい方&勇気のある方は反転をどうぞ(´∀`)つ

"敵同士の二人に5つのお題"
2.穢したくて近づいたのに。

最初はあまりにも純粋で美しすぎる君をこの自分の穢れきった手で穢したくて近づいたのに・・・

思えば俺はお前にのめり込み過ぎたかもしれない。

俺たちが初めて会った夜に何も知らないで俺を助けてくれた梓の親切さに俺は少し不快に思っていた。

こんな人間はいない・・・

俺の見てきた人間はこんなんじゃない・・・

こいつは偽善者だ・・・

そう思っていた。

だけど日を重ねるごとに俺に見せる梓の優しさ、純粋さ、美しさに俺は少しながらも何かを抱いていった。

俺は青と赤の左右対称の瞳を持っていた。

それは梓も一緒だった。あいつも赤と青の左右対称の瞳をしていた。

だけど1つ違った。

梓の赤い瞳は綺麗で青色と並んで更に魅力を引き立てていた。

俺の赤い瞳は血のような赤で昔からそこらの人間に忌み嫌われていた。
そしていつしか眼帯でその赤を隠すようになっていた。

だが梓は俺の穢らわしい赤を綺麗だと言った。私と同じで嬉しい、と俺の赤い瞳に触れてそう言ってきた。

俺はその時梓の綺麗な心に触れてしまった。

だけどその心は穢れきっている俺には眩しすぎた。

だけどもう1度触れてみたいと思った。

だけど俺にはあまりにも眩しすぎてダメだった。

だから俺は俺には綺麗すぎるこいつを穢してやりたいと思った。

俺のこの穢れた手で穢してやりたいと思った。

あの夜俺は無理矢理梓を手に入れた。

嫌がる梓を無理矢理自分のモノにした。

俺のこの穢れた手で梓を抱いて望み通り梓を穢した。

俺に抵抗もできず、声を出さずに泣いている梓の零れ落ちていく涙は凄く綺麗だった。

俺はあの夜、自分が梓を穢すつもりだったが俺は知らずの内に梓に惹かれていた。

そして思った・・・

こいつを自分のものにしたい。

こいつを誰にも渡したくない。

こいつは俺のモノだ・・・

俺は梓を穢してやりたかった。

それだけなのに

俺は梓を狂うほどに愛してしまった。


あとがき↓↓
書いてる最中真っ赤になりました(*ノェヽ*)
罪と罰も結構それほどじゃないけどヤバくなると思います!!
年齢制限つけるなら12禁(多分それ以下)
15禁を解禁した自分にとってはちょろいかな!!HAHAHA!
あれですね翠は瀬名そのままの生き写しでめっちゃ美少年なんですが中身は殺戮と梓いっぱいな変態d(ry
でも梓は翠に対して思いっきり冷たいです翠が死ぬほど大っ嫌いです。そりゃあんな事されたから・・・
梓も瀬紫亜そのままの生き写しで美少女なのです!!
2人は赤と青のオッドアイで翠は眼帯で赤目を隠してます。
まぁ・・・昔に色々あったんですよ(゚∀゚)


"敵同士の二人に5つのお題"
1.どうしてこんなに惹かれるんだろうね。
2.穢したくて近づいたのに。

3.もしも殺さなければならないならば・・・
4.愛することに自由がないことが哀しい。
5.それならいっそのこと逃げてしまいたい。



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11'08(Tue) 偽りの悪魔①―5
アリスはそう言うとキッチンから1つの白いワインびんを持ってきて、クロスの前にドンと音を出してワインを置いた。

「・・・これは・・・どうゆうことでしょうか・・・」

クロスは目の前に置かれた血のような赤さが白い鬢を通して見える赤いワインに少し困惑していた。

「これは赤ワインなのですが、普通ではあまり手の入らない"聖酒"なんですのよ。何でも味がとてもそこらへんのワインとは凄く美味しくて、喉越しが凄くスッキリして身体も軽くなるんです。
ぜひクロスさんに飲んでほしいんですが・・・どうですか??」

アリスはクロスにニッコリ笑って"聖酒"と呼ばれる赤ワインをクロスに勧める。

その様子にアイリスはゲッとした顔をしている。

「嫌・・・申し訳ないですが私はいいです・・・」

アリスの進めも虚しくクロスはあっけなく赤ワインの飲酒を断った。

「無理もないですよ。クロス様はまだお酒を飲める歳じゃありませんよ」

リサは椅子を退けて椅子のなくなった席に車椅子に乗っている父をそのままそこの席に着かせながら少し微笑してアリスに注意する。

「・・・あっ!そうですわよね、クロスさんにはお酒はまだお早いですわよね。こちらこそ無神経に未成年にお酒なんて勧めてしまって失礼しました。」

アリスは少し残念そうな顔をしたがまた笑顔に戻ってクロスに謝った。

「・・・未成年(外見だけだけど・・・)って分かってるんだったらそんなのクロス様に勧めないで下さいよ!それに普通のワインだったらまだしも"聖酒"だなんてクロス様は・・・」

「アイリスッ!!」

アイリスが何かを言おうとした先クロスはゴホンと咳払いをしてアイリスの発言を止めた。

アイリスはあっ!と口を押さえごめんなさい。とクロスに一言謝ってしゅんとなった。

そんな2人の様子にアリスは頭に??と浮かべていた。

「・・・ならお父様がこれをお飲みになってはどうですか??ほら、お父様昔これを凄くお気に召されていましたし・・・」

アリスはそういうとクロスの元から父の着いている席まで移動して折角持ってきたんだからと赤ワインを次は父に勧める。

だがアリスから目の前に差し出された赤ワインを見た父はさっきまで無表情に近かったその顔は目が大きく開かれていき段々と変化してきた。

「わ・わたしにそれを近づけるなぁぁぁああぁぁぁぁああぁ!!!!!」

限界にまで痩せ細っている身体から耳の奥まで響くほどの大きな怒鳴り声が出た。

その声にその場にいる全員が吃驚した顔をして怒鳴り主の方へと視線を向ける。

そして姉妹の父はゼェゼェと息を強張らせながら自分で乗っている車椅子を押しながら広すぎる食事場を出て行った。

「おっ、お父様お待ち下さいな!!」

アリスはワインをゴトンと大きなテーブルの上においてそう言って父の跡を追っていった。

2人の人間が居なくなった食事場にはシーンと静寂が広がっていた。

その静寂を破ったのはアイリスだった。

「びっっくりしたぁ~・・・なんなのあれ??」

アイリスは胸を押さえてハァーと溜め息を吐いた。

「・・・はい・・・私もあんな父は初めて見て吃驚しました。」

リサも瞳を大きく開いてアイリスと顔を合わせる。

「・・・アレはもう駄目かもしれない・・・」

クロスが1人ボソッといった言葉をリサとアイリスは聞き逃さなかった。

「どういう・・・意味でしょうか・・・」

リサは恐る恐るクロスに言葉の真意を聞く。

リサはクロスの返答がそうでないことを心の中で祈っていた。

私の考えは違う。これは私の思い違いよ。絶対父は助かる。と・・・

「・・・あなたのお父さんはもうほとんど悪魔に喰われている・・・」

・・・やっぱり・・・

私の考えていた通りになっちゃってる。

父は・・・助からない??

クロスのその一言がリサにとってはとても重く、苦しく、悲しかった。

リサは知らずの内に瞳から1粒2粒と涙がぽろぽろと零れ落ちていた。

そんなリサにアイリスは更に心配そうな顔をしてリサを見る。

「・・・クロス・・・様は、何で・・・そう思うんですか??」

リサは自然と零れ落ちていく涙を必死に堪えてクロスにゆっくりと口を動かす。

「・・・そう思ったのは君のお姉さんが持って来たあの"聖酒"ですよ。あれを無性に嫌がっていた。」

クロスは表情や顔色を何1つ変えずに淡々とリサに言い聞かせていた。

「"聖酒"と・・・は、あっあの赤ワイン・・・ですか??」

リサはまだクロスの言葉を理解できずにいた。

「"聖酒"は悪魔にとっては危険物なんだ。人間が飲めば"心"が浄化されるけど、悪魔は"力"や"存在"を浄化される危険性がある。」

クロスはそっと席に立ち、さっきまで姉妹の父が着いていた席まで歩いていき、アリスが残していった"聖酒"が入っている白いビンに触れた。

「悪魔は級(クラス)が低いほどこの浄化の力を恐れるんだ。しかもこれは唯でさえ上級の悪魔にも厄介物だ・・・」

クロスは触れていた"聖酒"から唯茫然と立ち尽くしているリサに目線を移す。

リサを見るその瞳はどことなく冷たくてリサは少し恐怖を感じ、身体が少し強張っていた。

「リサさんが見た悪魔って黒い影だったんだよね??」

アイリスは少し冷や汗を掻いているリサに声をかける。リサもそのアイリスの言葉に今まで恐怖を感じていた身体が魔法が解けたかのようにフッと軽くなり我に返った。

「ぁっ・・・はい、黒い影が父を包み込んで父の・・・」

正直、リサはあの場面を思い出すのは嫌だった。

あの時に味わってしまった恐怖の記憶が甦って、頭が痛くなってくる。2人にあの時のことを話した時だってホントは肩が竦んでいた。

「C級(クラス)だ・・・」

クロスはまたボソリと呟いた。その声にアイリスが少し笑った。

「・・・あのぅ・・・D級ってなんですか・・・」

リサはさっきも出てきた"級(クラス)"の言葉に疑問を抱いていた。

すると次はクロスでなくアイリスが先に口を開いた。

「あのね・・・悪魔ってゆうのは級(クラス)があって下からE級→D級→C級→B級→A級ってそれぞれ級が付けがあって、A級より更に上をいくのがS級があってその上、ほんの数人しか居ないと言われてるのが最高級がSS級なの。
クロス様がさっき言ったように級(クラス)が下なほど浄化の力に弱いの!
んで悪魔には人型と獣型とか色んな形があって、形が実体化してる程魔力が強いんです!その悪魔の能力も様々なんですよ!!!」

「そして君が見たのは"影"だった。言ったらD級だけど、君から聞いた話しや君のお父さんの衰えようを見る限りお父さんは魂を相当喰われ、身体も支配されている。だからその悪魔は更に魔力を増している・・・このままだと・・・」

「きゃぁぁああぁぁぁぁああああああああぁぁぁぁぁぁあああぁぁあ!!!」

クロスが何か言おうとした矢先、3人が居る食事場のドアの向こうから大きな悲鳴が聞こえてきた。

「・・・姉さん!!」

リサはその悲鳴を上げた声の主がアリスだと分かり急いで食事場のドアを勢いよく開けて悲鳴がした方へと走っていく。

クロスとアイリスも急いで走っていくリサの跡を追っていった。




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11'06(Sun) 偽りの悪魔①―4
クロスとアイリスはリサに夕食でもどうぞと晩餐に呼ばれた。

そしてアンディーク家のパーティー場並に広い食事場の席に着くがアイリス1人だけ何故か不機嫌だった。

「・・・なんであんたがここにいるんですか・・・」

アイリスは自分とクロスの間に割り込んで席に着いているアリスを軽く睨む。

「あら、いいでございましょう?あなたは四六時中クロスさんと一緒に居られると思いますが私(わたくし)は少しの間しか一緒に居られませんのよ??少しくらい宜しいじゃありませんかねぇ、クロスさん。」

アリスはさっきから文句ばっかり言うアイリスに背を向けクロスの方にべったりくっ付いてクロスにニコニコと笑顔を振りまいている。

クロスはそんなアリスに苦笑するだけだった。

「あなたみたいな大人が・・・自分よりも明らかに結構年下に見える男にべったりだとショタコン(変態)と間違えられますよ??」

アイリスはアリスを見てぷっと笑い、嫌味の言葉をアリスに浴びせる。

「あら、いいじゃないですか。年下だろうがなんだろうがクロスさんは何よりも顔立ちが美しく整ってらっしゃるので私は気にしませんわよ。
それに年下だろうが少し普通の男性の方達より背が低くいだけですし、歳だって16・17歳くらいでしょう??なら私というほど歳は離れておりませんわ。」

アリスはアイリスの言葉にムッとした顔をしてアイリスに反撃する。自分より遥かに幼く見えるアイリスとケンカしている姿は少し大人気なかった。

「ふっ、結局顔じゃん!!私なんかクロス様のいい所100こは軽く言えちゃうんだから!!!」

アイリスはアリスに向かって思いっきりべーっと舌を出した。

「あら、何お子様みたいな何小生意気なことおっしゃっているんですの??ってあらごめんなさい。貴方はまだお子様でしたよね。」

アイリスの"あっかんべー"に相当苛立ったのかアリスの言葉に怒りが多々見える。

「あら??何ですか?貴方はクロスさんが貴方みたいなお子様を相手してくださると勘違いされているんですの??」

続いて出てきたアリスの嫌味丸出しな言葉にはアイリスも相当頭にきているらしく顔の表情が怒りの表情に変わっていく。

「なんですってぇー!!この面食い年下好き巻き毛!!!その髪の毛のウネウネは何か!?メデェーサのヘビの髪の毛か!?!」

「なんですかその顔!いやー、この世とは思えないほど恐しいですわ!貴方が悪魔ですわ!!クロスさん助けてくださいまし。」

アイリスはアリスの金色の巻き毛を指差してアリスに思いっきり怒鳴るが、アリスは言葉だけでなく顔まで嫌味丸出しな顔をしてクロスの腕に両腕を絡ませた。

そうやってしばらくの間2人のケンカは続きその横ではクロスが呆れた顔をしていた。

そしてそのケンカを中断させたのはある人物の登場だった。

「姉さん、そんな小さな子に突っかかっていくなんて大人げありませんよ。ほら、お父様もいらっしゃいましたよ。」

リサはそう言って車椅子を引いてこの大きな食事場に入ってきた。

そしてリサの引く車椅子には男が座っていた。

その人物こそこの家の主でこの姉妹達の父。

そして悪魔の存在に悩まされているという張本人だった。

アリスは車椅子に座る自分の父にこんばんわ。と挨拶をする。

その男の姿を初めて見たクロスとアイリスは茫然としていた

その男の身体は骨と皮ってほどに痩せ細っており、髪の毛の大半は白髪を占めている。その姿に2人は少々痛々しく思ってしまう。

「あら!そういえば今までこんな小娘との喧嘩ですっかり忘れてしまっていましたが、今日はクロスさんにぜひ召し上がっていただきたいものがありますの。」

いきなりなアリスの大声に2人はびくっと何事でもあったのかといわんばかりの驚いた顔でアリスのほうを見る。

「クロスさん少々お待ちくださいませ。」

そういうとアリスは大きな食事場の横にあるキッチンの方へと消えていってしまった。




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11'05(Sat) "敵同士の二人に5つのお題"―In Despair―
※大人向け要素があります。言うほどではありませんが・・・
読んで不快な思いをされても責任は取れないのでホントに見たい方&勇気のある方は反転をどうぞ(´∀`)つ

"敵同士の二人に5つのお題"
1.どうしてこんなに惹かれるんだろうね。

私とあなたは敵同士・・・

私が憎む世界に就いているニンゲン・・・

なのに

私はどうしてこんなにも惹かれるんだろうね。

今は夕暮れ時、ジェイドからの指令で私はある男を殺しに行った。

ジェイドは男を"組織側についときながら結局は世界政府に寝返った裏切り者だ"とその男に怒りを表していたが私にとってはそんな事どうでもいい。

ただニンゲンを1人でもこの世から消し去れるのであったなら私はその命令に従っていくものだ。

元々私はあんなところなんかに忠誠など誓ってはいない。

向こうがそう思い込んでいるだけだ。

ただ向こうにいればニンゲンをたくさん消せる。

ただそれだけで私は向こう側についてるだけ。

「や・やめてくれ・・・君達を裏切った事は何度でも謝る・・・だが俺にはああするになかったんだ・・・頼むぅ・うぁああぁぁぁぁああぁぁ」

私は男の命乞いなど耳に入れない。

そんなもの聞いたって耳が腐ってしまうだけだ。

何よりも人を斬りたかった。

ただそれだけで私は男を殺した。

またこの世からニンゲンが消えた。

そう考えると嬉しさが心から湧き上がってくる。

だかそんな感情もすぐに消される。

私はたった今斬った男の無残な姿を見る。

男を殺した今、ここに居る必要がなくなったから私はここから立ちろうと遺体となった男に背を向けもと来た道を歩こうとしたが私は足を止めた。

周りをみると夜空には月が大きく輝いているだけで他に灯はなく、薄暗くて見えずらいが、大きく発展した都市部からそう遠くないここは違う世界に来たのかと思うくらい荒れ果てていて廃墟だらけだ。

その周りが廃墟だらけの広い道から人影が近づいてくる。

それは段々私の方に近づき、私との距離を縮めてくるたびに大きく輝く月の灯でそのシルエットがはっきりと見えてくる。

「・・・また人、殺したんだ・・・」

その人影だったものが私に言ってくる。

「・・・瀬名・・・」

私は近づいてくる人影だった瀬名を見つめた。

「・・・また血がべっとりと付いてる・・・」

瀬名は私の姿を見て冷たく笑う。

私はこいつの人を冷たく笑う瞳が嫌いではなかった。むしろ好きだ。

「・・・お前は何しに来たんだ・・・」

私は自分より少し背の高い瀬名を見上げる。

「・・・政府の命令で裏切り者の排除を頼まれたんだけど・・・先に取られたな・・・」

そういうと瀬名は私の後ろに仰向けに倒れる男の死体に目をやって微笑した。

どうやら世界政府もこの男の行為を許せなかったらしい。

私にも許せない事があった。

「・・・世界政府の命令で貴様は動いたのか・・・??」

私が瀬名を睨みそう問うとまた大きく蒼い瞳で冷たく私を見る。

「・・・それがなかったら俺はそんな事しないけど??」

私はこの言葉に少し苛立った。

「・・・お前は世界政府にそんなに大切か・・・」

私は私の嫌いな世界を守る世界政府に属してる瀬名は好きではない。

むしろ嫌いだ。

私の言葉を聞くと瀬名はしばらく黙っていたがフッと小さく笑った。

「・・・あんなところが??・・・別に俺にとっては大切じゃない・・・俺があそこに居るのは自分のため、自分が生きていくためだから・・・」

私はその予想外な言葉を聞いてビックリした。と同時になぜかホッとした。

・・・やっぱりだ・・・

・・・やっぱりこいつは私に似ている・・・

だからこんなにも惹かれるんだろうね・・・

私はその後は何も言わずに瀬名に近づいき瀬名の前に立つと瀬名の首に手を回し自分の唇と瀬名の唇とを重ねる。

私は次第に舌を絡ませ貪るようなキスに変化させていく。

すると微かに血の味が瀬名の口内から伝わってくる。

私は前にも1度だけ飲んだ事があるこの瀬名の血の味が好きだ。

私は自分に伝わってくる血の味をゴクリと喉を鳴らして飲んだ。

そして名残惜しそうに私と瀬名の唇を離し瀬名の少しキョトンとした顔を見ると瀬名の唇から血が滲んでいた。

「・・・切れてる・・・」

瀬名は切れている処を触れた指を見つめてそう言ってきた。

私は素直にゴメン。と謝って瀬名の切れた唇をそっと舐めた。

そして私は少しバツの悪い顔をしている瀬名に少し微笑んで暗い夜道に消えていった。


あとがき↓↓
書いてる真っ最中顔が真っ赤になってきました(*ノω`ヽ)
瀬紫亜は瀬名大好きっ子です。もう彼なしではいられない的な・・・
彼は私のものよ状態ですホント(´・ω・`)
ちなみに瀬紫亜は瀬名にはキス魔です(;´Д’)
瀬紫亜は瀬名の血も大好きです。大好物vもう吸血鬼のように血を飲んじゃいますね(*´Д`)
もうこの人の愛情表現は屈折し杉なんですよ(*´ェ`*)ポッ
ちなみに瀬名は瀬紫亜が嫌いでもなければ好きでもありません。
でも瀬紫亜の愛情表現にはちょっと嫌がっています。少し拒否り気味(ノ∀`)


"敵同士の二人に5つのお題"
1.どうしてこんなに惹かれるんだろうね。
2.穢したくて近づいたのに。
3.もしも殺さなければならないならば・・・
4.愛することに自由がないことが哀しい。
5.それならいっそのこと逃げてしまいたい。




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11'04(Fri) 偽りの悪魔①―3
「・・・分かりました・・・そもそもその悪魔退治が私達の仕事ですから・・・」

哀願するリサにクロスは優しく微笑む。

「そうそう!!クロス様に"浄化"できなかった悪魔はいないんだから!!!」

アイリスは力説と言わんばかりにリサに語る。

「リサさん・・・これまでの悪魔に関する経歴を教えてくださいませんか・・・??」

クロスの言葉にリサはクロスの瞳を真っ直ぐに見つめ、口を開く。

そうあれは昔からだったかもしれない・・・

父と母、そしてリサはアリスと1人の兄を含め三人兄妹、5人家族だ。

この家族は裕福で誰もが羨むほどの笑顔耐えぬ幸せな生活を送っていた。

2年前、母が死ぬまでは・・・

母が死んでからの家族は前の家族生活とは明らかに変わった。

あれほど優しかった姉は母を失った悲しさを紛らわさす様に男や金でよく遊ぶようになり、

兄は母の居なくなった家族には嫌気が刺したのか職を見つけそのまま逃げる様に家を出て行き、

あれほど明るさが表面上にでていた妹はだいぶ防ぎがちになってしまった。

しかし父は妻を亡くした事の悲しみを乗り越えたかのように子供達を支えた。

その父の支えが子供達に少しだが元気を与えていた。

・・・だが1番かわってしまったのは父かもしれない・・・

父は母を亡くした事によって誰よりも深い闇を作っていたんだと思う。

「少しずつ父が可笑しくなっていたんです・・・そして2ヶ月前ほどのある晩のことです・・・

私は夕食ができたと父を呼び出しに部屋に行きました。

だけど父がいるはずの部屋をノックしても応答はなく私は可笑しいと思い部屋のドアを開けました。

すると

父は黒い影にその身を覆われていました。

「う・・・うぁあ・・・」

部屋には父のうめき声が響いていました。

その黒い影は父の口から出ている白いモノを貪る様に"食べていました"

私はその姿が恐ろしくなりドアを開いたままひっ!と腰を抜かしてしまったかのようにその場にしゃがみ込んでしまいました。

その黒い影は私に気がついたのかドアの向こうにしゃがみ込んでいる私を見てにやりと口内に垂らしているよだれを見せ笑いました。

その姿はまさに 悪魔 でした。

私はその姿に更に恐怖を感じ、そのまま意識を失ってしまいました。

私は気がつくと朝になっていて自分のベッドの上で眠っていました。

私は昨晩のことは夢だと思い、ホッとしました。

だけど私はその日の朝食の席に出た父を見てアレは現実だと確信しました。

父は一気にドッと衰えており顔は傷だらけでした。

私は父のその姿を見ると心が痛くなりました。

しかも父は更に日に日に衰えていく。

何故お父さんがこんな目に遭わなくちゃいけないの??

どうしてお父さんなの??

私がお父さんを助けてあげたい。

だけど私じゃ何もできない。

何も力になれない・・・

私は父をあの酷い悪魔から助けてあげたいんです・・・だけど私の力じゃ何もできない。だから・・・お願いです、力をお貸しください・・・」




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11'01(Tue) 偽りの悪魔①―2
「・・・ここですかぁ・・・」

アイリスはクロスの横顔を見上げてから、目の前にある大きな屋敷を目の上に手を垂直において眺める。

「あぁ・・・確かにここだ・・・」

そういうとクロスは屋敷の玄関に近づきドアの前に立つと3度ほどドアをノックする。

以外にもドアは早く開かれ、そのドアからウェーブのかかった肩下まである栗色の髪をした少女が顔を覗かせた。

「・・・クロスさま・・・でしょうか・・・??」

少女は目の前にいるクロスの顔を確認すると少し遠慮がちに話しかけてくる。

「・・・あぁ、あなたの依頼できました、クロスです。あそこにいるのが弟子のアイリスです。」

クロスはドアに少し身を潜めている少女に優しく問いかける。
その様子にアイリスは少し眉を潜めた。

「・・・お待ち致しておりました。私はこの屋敷の者・リサ=アンディークと申します。・・・どうぞ中へお入りください。」

少女はそう言うとギィと音を立ててドアを全開に開くとクロスとアイリスを屋敷の中に入れ、2人を案内した。

2人は屋敷内を案内され、歩いていると前方から誰かがこちらの方へ歩いてきた。

「あっ!リサこんなところで何をやっているの・・・ってお客様かしら??」

前方からやってきた20代前後らしき女性は、少女―リサの後ろについて歩いていたクロスとアイリスを見てリサに問いかける。

「えぇ・・・そうですわ。」

リサが女性の問いかけに答える。

「フフ、すごく綺麗な顔した少年と女の子を連れてくるものね・・・。兄妹かしら??」

女性はクロスの綺麗に整った美形ととれる顔をニコッと笑いながら見る。

その様子をみてアイリスはキッと女性を睨む。

「ちょっと待ってよ!!クロス様と私は兄妹じゃない!!
それにクロス様を少年って何!?そりゃクロス様外見だけじゃ16・17歳ぐらいにしか見えないけどほんとはもっと凄いんだから!!!!
そーれーにー、女の子って何!?私はこう見えても現役の16歳なん・・・」

「あら、失礼致しました。わたくしはこの家の長女・アリス=アンディークです。あなたはクロスさんというのですね・・・とても素敵な名前だわ。」

アリスはアイリスの耳鳴りするほどの大きな台詞を無視して、クロスの手をとって挨拶をしていた。

「あら・・・クロス様は赤い瞳をされているんですね。とても綺麗だと思いますわよ、銀色の髪だって一本一本輝いていて素敵ですわ・・・」

そういってアリスはクロスの少し長めのショートの髪を撫でてた。

「ちょっと!!いい加減やめてください!!!!」

アリスのクロスに対する行動に嫌気がさしたのかアイリスはアリスを強く睨んで大声を出して注意する。
その声にアイリスの前にいたリサは吃驚したのかアイリスの方を振り向く。一方のアリスはどこか余裕の表情をしていた。

「・・・あらほんのささやかなスキンシップでしたのに・・・まぁクロスさん、以後お見知りおきを。」

アリスは邪険そうにちらっとアイリスの方を見て、顔をクロスに向き直ると自分より少しだけ背の高いクロスの頬に軽くキスをした。

「うきーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」

アリスの行動にアイリスは顔を真っ赤にして怒りを込め、大きな叫び声を上げる。

「だからほんの挨拶ですって・・・まぁ"あの件"でこの屋敷にお越し下さったようですがせいぜいお怪我のないように頑張って下さいねクロスさん。」

アリスはそう言うとリサのほうをチラリと一瞬見て、ではまたとその場から去っていってしまった。

そして嵐が去っていったかのようにしばらく静けさがその場に流れたがその静けさを破ったのはアイリスだった。

「うーー!!なんなのよあの態度!!!クロス様ばっか愛想振りまいてぇ!!!!」

アイリスは今までアリスに対し出しきれなかった怒りを出した。

「すみません・・・姉は相当の美形好きなので・・・」

リサはくすっと笑いながらその反面申し訳なさそうにアイリスに謝る。
だがアイリスはまたブスーとした顔をしていた。

「・・・そういえば彼女の言っていた"あの件"ってなんなんですか・・・」

クロスは思い出したかのようにリサにアリスが言っていた意味深な言葉の意味を問いただす。

リサはクロスのその言葉を聞くとバツの悪そうな顔をした。

「あなたは何のために私達に依頼してきたんですか・・・??」

更にクロスはリサに追い討ちをかけるように問いただす。

リサはしばらく伏せがちだった顔を上げて口を開いた。

「・・・クロスさま・・・悪魔から、私の父・・・私達家族を助けてください・・・お願いします。」

クロスは哀願するリサの顔を一点に見つめていた。



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