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02'05(Sun) 短編小説:落款―3
倉澤愛葵:クラサワアキ・・・12歳。姉の異常な愛情のせいで小学校にもいけず、孤独な監禁生活を送っている。
倉澤愛遊:クラサワアユ・・・17歳。実の弟・愛葵を溺愛するあまり、自由のない監禁生活をさせる。愛葵の子供を妊娠中。
空野未来:カラノミライ・・・14歳。監禁生活を送る愛葵が部屋の小さな窓を通して出会った少年。


「・・・葵、・・・あき・・・愛葵・・・」

僕は上から聞こえてくる声に少しずつ意識をはっきりさせていき、重たい瞼を開いていく。
開いた僕の瞳には随分とにこやかな制服姿の姉が大きく映る。

「あはよう、愛葵。」

「・・・うん、おはようおねえちゃん・・・」

にっこりと僕に向かって微笑んでくる姉に、僕もまだはっきりと意識のないまま微笑み返してみる。

「愛葵、私今から学校あるから行ってくるけど、今日もいい子にこの部屋で待っててね・・・??」

「・・・うん」

姉の言葉に無言で頷くと、姉は僕の頭をくしゃくしゃっと撫でる。

「愛葵はいい子ね・・・」

姉はそう言うと僕を抱きしめ、頬に口付けを送ってくる。
姉が頬から唇を離すと、頬に吐息がかかって少しくすぐったかった。

「・・・そういえば、愛葵に聞いて欲しい事があるの・・・」

姉はそう言うと、ベッドに座りっぱなしだった僕の隣に座ると、いつにない笑顔で僕の顔を見つめると、自分のお腹に手を当てていた。

「・・・私、愛葵の子供身籠ってるみたいなの・・・」

そう言った姉はまるで聖母のような優しくて、美しい笑みを浮かべていた。
まるで実の弟を監禁させているとは感じ取れないほどに・・・

姉の言葉に、ろくに小学校へもいって勉強していない無知な僕は首を傾げる。

「・・・こ、ども・・・??」

「そうよ、私と愛葵の赤ちゃん。今、ちゃんとココにいるのよ。」

姉はそう言うと僕の手首を掴み、それをいままで自分が手を当てていた、自分のお腹へと持っていき、僕にお腹を触らす。

「ぼくと、おねえちゃんの・・・あかちゃん・・・?」

「うん。肉親同士の子供は障害が多いって聞くけど、私と愛葵の子供だもん、きっとすごく可愛いに決まっているわ・・・」

姉はそう言うと僕の頬に手を当ててきた。

「・・・じゃぁぼくは”おにいちゃん”になるの・・・?」

僕はそう聞くと、姉がクスっと声を漏らして笑うと首を横に振った。

「違うわ。12歳の愛葵にはまだ早いけど、この子の”お父さん”になるの。そして私が”お母さん”」

「ぼくが、おとうさん・・・??」

僕がそう言うと、姉は再び僕を抱きしめてきた。

「・・・そうよ、だから2人でこの子を一生懸命育てましょう?・・・ずっとこの家で・・・」

―――・・・ずっとこの家で・・・

僕はその言葉を聞いたとき、胸に不快感が湧いたのを感じた・・・
この人は僕をここから出さない気だ・・・
そう思った。

ただ、虚しさが心の中に広がっていく。

自由を奪われていく虚しさ・・・

「・・・じゃぁ、行ってくるね、今日もいい子にしててね。」

姉はそう言うと、僕を抱きしめていた腕の力を緩め、唇に触れるだけの軽いキスをしてくる。
そして、名残惜しそうに僕を見つめると、ドアを開け、この薄暗い部屋から出て行った。

また暗い世界に独りっきりになった僕は、姉がこの部屋の鍵を外側からかける音を耳にする。
何度も聞きなれたはずなのに、この音を聞く度に心が虚無感と恐怖感で満たされてしまう。

―――ドクン

僕の心臓が大きく脈打つ。
胸が苦しくて痛い。

「・・・っ、はぁ、はぁ・・・だい、じょうぶ・・・」

僕は息をするのも苦しい胸を押さえ、痛みを絶える。
いつもこうだ。
姉がこの部屋の鍵をかける音を聞くたびに虚無感と恐怖感でいっぱいになった僕はそれらに圧迫されて、心臓が苦しみ、痛みだす。

・・・だいじょうぶ、いつものことだから
僕は自分にそう言い聞かせて乱れた息を整えていく。

暫らくして胸の苦しさがやっと収まると、床に散らばってしまっている服を集めると、それを着ていく。

「・・・だいじょうぶ・・・いつか・・・」

僕はギュッと膝を抱え、天井を見上げる。
ふっと僕の視界に、部屋に1つだけある唯一光が差し込む鉄の柵で囲まれた小さな窓が入る。

「・・・まど・・・ひがさしてるからきょうは、はれてるのかな・・・」

僕はそう一言呟いてみると、無性に窓の外を見たくなってきた。

僕は部屋中を見渡してみる。
部屋にはベッドとこの部屋専用の小さなシャワールームに繋がる扉、そして部屋の隅っこに少しアンティークな机と椅子があった。

僕は立ち上がると、部屋の隅に置かれている机を窓の下まで運び、机の上に恐る恐る乗ってみる。

机の上に乗り、窓を開けた僕の視界に入ったのは、柵がはられている窓の外で広がる太陽の光が眩しい澄んだ蒼が広がった空だった。

「わぁ、きれい・・・」

僕は6年越しに見た青空にしばらく瞳を輝かせて魅入っていた。
思わず柵の隙間から手を伸ばして、自分の掌と青空に昇っている太陽とを重ねる。

「・・・ひさしぶりのたいようのひかり・・・」

「・・・何してんのや?」

僕は突然聞こえてきた声に、肩をビクつかせ、きょろきょろと声の聞こえた方を捜す。

「おーい、ココや、ココ!!」

すると下のほうからひらひらと手を振っているのがちらちらと見えたから、そっちの方へ視線を移す。

僕の視線の先には重そうな鞄を持った学生服を着た男の子がいた。
どうやら僕は、久し振りの青空にすっかり夢中だったらしくて、男の子の姿に気がつかなかったらしい。

「君さ、さっきから何してんの?窓から手ぇら伸ばして・・・」

確かに瞳を輝かせて窓から手を伸ばしている光景は、他の人から見たら不審かもしれない・・・
男の子は不思議そうな顔をして僕を見る。
僕にとって男の子は、監禁生活以来に会った姉以外の人間で、どう接すればいいのか分からなくなり、思わず顔を逸らしてしまう。

「・・・ひっ、ひさしぶりのそら、きれいだったからみてた・・・」

「・・・へぇー」

男の子が僕に向けてくる視線がやけに痛かった。

―――ダンッ

男の子の方から少し鈍い音が聞こえたので、恐る恐る男の子がいた方に視線を向けていくと、男の子との距離がさっきより近くなっていて思わず驚きの声を上げてしまった。

「なんや、ただ家の囲いに登ってきただけやないか。そないに驚くこったないやろー、傷心モンやぁ。」

男の子は僕のキョトンとした顔を見るとケラケラと可笑しそうに笑っていた。

「わぁ、アンタ可愛らしい女の子やと思っとったけど、よぉ見たら男の子やなぁ。」

「・・・え・・・ぼっぼくはおとこだよっ!」

僕は失礼な言葉に少し顔を赤くする。

「なんや、そないに怒らいでもええやろ。人間誰にでも失敗はあるもんや。」

相変らずへらへらしている男の子に僕は眉をしかめる。

「・・・君結構おもろいな、俺と友達にならへんか??」

「・・・えっ・・・」

僕は男の子の言葉に瞳を大きく開き吃驚する。

―――友達・・・
その言葉が大きく僕の心に響く。
その響きは決して悪い響きではなく、どこか穴が開いていた僕の心を満たして、胸が熱くなっていく。

「俺は空に野原の野に未来って書いて空野未来(カラノミライ)や。」

「み、みらい・・・??」

未来・・・
その名前は僕を不思議な思いにさせていく。

―――君ハ僕ノ未来ヲ明ルク照ラシテクレル存在・・・??

「そや、んで自分の名前は??」

「え・・・?」

「だから、君の名前や。」

「あっ・・・ぼくは、くらさわ・・・あき・・・」

「あきか・・・なんやええ響きの名前やな。名前教えてくれたっちゅうことは友達になってくれんのか??」

「・・・・・・・・・うん」

僕は嬉しさで赤くなった顔を隠すように少し俯く。
そんな僕を見て未来はまた可笑しく笑うと、柵を掴んでいた僕の手を取る。

そして未来は、僕の手を自分の掌に重ねるとギュッと握ってくれた。
僕は久し振りに感じる姉以外の人間の体温の温かさに吃驚するも、人との触れ合いに嬉しさが溢れ出してくる。

「じゃぁこれからもよろしゅうな、あき。」

「うっうん、みらい!!」

僕はそう言うと初めて未来に笑顔を見せた。
いつも姉に向けている作り物の笑顔じゃなくて、心の嬉しさや喜びからくる笑顔・・・


未来との出会いが、僕に大きな影響を与えるなんてこの時は予想もしていなかった。


だけど、確実に動き始めていたんだ・・・







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