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02'25(Sat) 悲恋歌②―10
「・・・じゃぁ、俺帰るわ。」

一樹が自分の着物を整えながら、スクッと床から立ち上がる。
布団の中から一糸纏わぬ姿の御苑が顔を覗かせる。

「はいはい、とっとと御家にお帰りになってくださ~い」

御苑は一樹に向かって集ってくる蝿を追い払うような手付きで手を振る。

「うわっ、冷た~、俺こんな風にお前を育てた覚えねぇーよ!!」

「・・・何が育てたよ。今日は抱かないとか言ってたくせに結局抱いて・・・」

「でも、御苑だってあんなに感じて乱れてたじゃん・・・」

一樹が少し笑いを含みながら、御苑の顔をじーっと見る。
すると一樹の顔面に色鮮やかな着物が飛んでくる。

「いってぇー・・・何すんだよ・・・」

「馬ー鹿!!早く出て行け!!!!」

御苑は顔を少し赤くしながら、床に散らかっている自分の着ていたものを一樹に投げつけていく。
一樹もこれには困り果てて、御苑の部屋から逃げるように出て行く。

「・・・ってぇな・・・あいつ本気で投げにきやがった・・・」

一樹は御苑の部屋から出て、遊郭の長い廊下を歩きながらブツブツと歩いていると、その廊下に立ち並ぶ部屋から艶っぽい女の快楽に飲み込まれている声と床の軋む音が耳に入ってくる。

毎度ながらここを通る度に耳を塞ぎたくなってくる。

「・・・所詮は快楽なしでは生きられない哀れな女。か・・・」

一樹はそうポツリと呟くと少し悲しそうに微笑む。

―――アイツも結局は・・・

ドンッ

「・・・ぁ、すまん。前を見ていなかったものだから・・・」

「あー・・・こちらこそ、ボーっとしていたものだからつい・・・」

物事に耽っていた一樹は後ろから何かがぶつかってきた衝撃を感じ、振り返ってみるなり、瞳を大きくさせる。

「・・・西園寺・・・さん・・・??」

一樹の瞳には顔立ちのいい、長身の青年が映っていた。

「・・・あぁ、一樹か・・・」

青年―西園寺はそう言うと小さく微笑んで見せた。

「・・・どうしたんですか、こんなトコに。」

一樹も西園寺に少年じみた無垢な微笑を西園寺に向けるが、やはりいつものように心の底から笑ってはいなかった。

むしろ彼の顔を見る度に憎たらしい感情が彼の中には芽生える。

「・・・こんな所に来る目的は1つだけだろう・・・??」

西園寺はそう言うと微笑する。
一樹はそんな西園寺の表情をジッと見つめていた。

「また遊女買いですか。貴方には若くて美しい妻がいるじゃないですか・・・」

「・・・やっぱり怒っているのか・・・あのこと・・・」

西園寺は口の端を上げて呟く。
一樹はその呟きを耳にした瞬間、勢いよく眉を顰めさせた顔を上げ、西園寺と視線を合わせる。

「いや、独り言だよ・・・やっぱり妻1人だと俺にはどうも物足りなくてね。だから今日も椿に相手してもらったんだよ・・・」

「・・・そうですか・・・」

「・・・じゃぁ、俺はもう帰るから・・・」

西園寺は一樹に何1つ挨拶せずに1足先に遊郭から出て行く。

一樹もそんな西園寺の方を振り返りもせず、その場に立ち尽くしていた。

「・・・なんだよ、アイツの事愛しちゃいねぇじゃねぇか・・・
じゃぁなんで結婚して、子供まで作りやがったんだよ・・・」

一樹はギリッと歯を噛み締め、強く拳を握る。

一樹の握り締めた拳から血が伝って床に滴り落ちていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「・・・では、優駿さん。女学院もあることですし、私はもう帰宅させていただきますわね。
長いこと居座ってしまっていてすみませんでした・・・」

「いえ・・・ではお気をつけて・・・」

「ええ、また来ます。」

佐和子はそう言うと少し微笑んで優駿に手を振ると、洋館の玄関の扉を開いて外へと歩き始めた。

優駿も佐和子の後姿を見つめながら手を振る。

そして佐和子の姿が小さくなっていくと、手を振るのを止め、大きな扉を閉めようをしたのだが、1つの影がここに向かってくるのが見える。

その影は優駿の家に近づくに連れ、姿をはっきりとさせてくる。

「・・・一樹さん・・・??」

優駿はそう声を漏らすと段々と近づいてくる一樹は優駿に向かって手を振ってくる。

「よぉー!優駿ー!!」

「一樹さん、何しに来たんですか・・・」

そうしている内にも一樹が優駿の前にやってきた。
一樹は優駿を見るなり、笑顔を見せる。
優駿も一樹につられて笑顔を向ける。

「まぁ色々と・・・そういえばさ、さっき向こうで佐和子と会ったんだけどさ、あの子、俺と鉢合わせしても声1つ掛けなかったぜ・・・」

「・・・そうですか・・・」

「まぁ、佐和子帰ったんならちょうど都合よかった。」

一樹はそう言うと優駿にまた笑顔を向ける。
優駿は一樹の言葉に首を傾げる。

「・・・椿って澪夜ちゃんのことだろ・・・??」

一樹は優駿の耳元に自分の口元を近づけるとそう囁く。

「・・・ええ、それが・・・??」

「澪夜ちゃんさ、さっき買われたらしいぞ・・・??」

「・・・!?」

一樹のその言葉を聞くと、優駿はパッと大きな瞳を更に大きく開かせた顔を上げる。

「それって本当ですか・・・!?」

「・・・あぁ、さっきあの遊郭に行ったらあの子のお得意さんと会って”買った”って言ってたし・・・」

一樹の言葉を聞いた優駿の表情には焦りと絶望が見えた。

澪夜は遊女として生きる女だ。
ずっと分かりきっていた事だったのに・・・
だけどいざという時にその真実を知ると胸が張り裂けそうになるほど辛くなっていく・・・

そんな優駿の顔を見た一樹は優駿の肩をポンっと叩く。

「・・・行ってきてあげたら・・・?仮にも君等は恋人同士だし・・・??辛いんじゃない、お互い・・・」

優駿は一樹の顔を暫らく見て黙っていたままだったが、今まで気の抜けた表情から、決意に満ちたような表情に変えるとコクリと首を頷かせる。

「・・・僕・・・俺、行ってきます・・・」

優駿はそう言って一樹の肩をポンッと軽く叩くと風に逆らい猛スピードで走り出す。

一樹は段々遠くなっていく優駿の後姿を黙ってみていた。

「・・・頑張れ、少年・・・俺のためにも・・・な・・・」


そう言うと一樹は冷たく微笑んだ。






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