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03'17(Fri) 悲恋歌③―1
優駿様・・・

私は貴方に愛されてとても幸せでした。

恐れもなにもなかった。

ただ、貴方の側にいられることだけで充分です。


でも・・・

私は気付きませんでした。

幸せの影にはつねに嫉妬がついて離れていなかったこと・・・


* * * * * * *


季節は花びらが美しく咲き乱れている桜の枝の上で鶯が美しい歌声を響かせている暖かい春。

路には桃色の花びらが散っている。


桜の花びらが風にのってひらひらと散っていく中、1人の少女が小さな寺の階段に静かに座っていた。

少女は手に1本の白い花持っており、茎をくるくると回しながら花を見つめる。
少女が手にしている花は茎がしっかりと伸びており凛とした美しく透き通ったような白い花。

手に持っている花を眺めているうちに少女の片足がカタカタと小刻みに震えだす。

そして視界の先にある鳥居を睨みつけるように見つめていた。

何分花を見つめ、足を震えさせたのだろうか、鳥居の門を1人の男がくぐってくる。
その男は古ぼけた寺の階段に自分を睨みつけるように見ている少女を見つけると、笑顔で少女に手を振る。

「遅い!!どんだけ待たせたと思っているのよ!!」

少女は勢いよく笑顔の男に罵声を浴びせる。
男はその勢いのよさに少し驚いて見せるが未だに笑顔は絶やさず。

「ごめんごめん。でも佐和子ちゃんから呼び出し喰らうとはなぁ・・・」

思っても見なかったよ。と男はハハッと笑いながら少女―佐和子の隣へと腰を下す。

「・・・何?私が一樹兄さんを呼び出したら何か可笑しいの??」

「いやっ、そういうわけじゃないけど・・・女学院とか今日ないの??」

一樹は佐和子の姿をまじまじと見る。

髪には朱色のリボン、艶やかな赤の着物にくるぶしまである袴、女学院生のお召し物だ。

「もう終わりました。そんなもの・・・」

「そう・・・まっ、まぁそんなピリピリしないで・・・」

不機嫌に自分を見る佐和子を宥めるように一樹はいろんな言葉を巧みに使って、そうでないことを佐和子に伝える。
しかし佐和子の不機嫌はそんな事で治るわけもなかった。

「ま、そんなことはどうでもいいんです。」

佐和子は一樹から自分が手にしている白い花へと視線を変える。

「うん、で?話って何・・・??」

一樹の言葉に佐和子は花から視線を逸らさずに口を開き始めた。

「ねぇ、優駿さんに・・・他の女いるでしょう??」

佐和子はストレートに一樹に問いかけてきた。
一樹は佐和子の質問に内心驚きつつも、それでも慌てず持ち前の笑顔で否定する。

佐和子の疑問は真実なのだが、ここで否定しておかなければどうなってしまうか分からない。

佐和子の事だ。
またヒステリーを引き起こして暴れまわるに決まっている。
そしてその被害にあうのは確実に自分だ。

一樹はそう考えると冷や汗が額から滲み出すような感覚がして、佐和子の横に腰掛けたことを後悔しはじめる。

「・・・本当・・・?優駿様に変な虫はたかっていないのね??」

「あぁ”俺の知る限り”はね・・・」

「・・・嘘つき・・・」

一樹の言葉の後に紡がれた佐和子の言葉が一樹に重く圧し掛かってくる。

「・・・嘘つき・・・??」

俺が?と一樹は佐和子に尋ねると佐和子は一樹を睨みつける。
さすがの一樹もこの時ばかりは焦りを隠さずにはいられなかった。

「私・・・知ってしまったのよ・・・」

佐和子は花を手に持ちながらも、袴を力強く握る。
自分の袴を握るその手は徐々に震え始める。

「優駿さんの背中に・・・引っ掻き傷があったのよ・・・」

佐和子は怒りを堪えているのか、涙を堪えているのか、唇を噛み締めていた。
佐和子の言葉を聞いた一樹は少し呆れた顔をする。
それは佐和子に向けたものでなく、優駿に向けるべきもの。

「引っ掻き傷なんて・・・女が付けたもんじゃないかもしれないんじゃない??」

一樹は巧な言葉で佐和子の不安を少しでも和ぐようにと佐和子の考えている説をあえて否定する。

「・・・でも・・・」

「まぁ、そうだとしても証拠、ないんでしょう??」

一樹はすっと立ち上がる。
佐和子は立ち上がった一樹を見上げた。

「大丈夫、アイツに女がいたって佐和子ちゃんは優駿の未来のお嫁さんだよ??
きっと優駿もそれを理解してるから佐和子ちゃんが傷つくことは遇えてしないよ。」

一樹はそう言うと座っている佐和子の頭を撫でる。

―――大丈夫
しかし一樹の言葉は偽りで塗り固められた虚偽の言葉だった。

現に優駿は澪夜に恋焦がれ、澪夜もまた優駿が愛おしくて仕方ない。

優駿が今まで佐和子にちゃんと瞳を向けたことなんて1度たりともなかったことは一樹も承知の上だ。
そうだったからこそ、彼が少しでも佐和子以外の女との出会いを、と自分が優駿を遊郭に連れて行ったのだ。

佐和子は子供じゃないから、とまた不機嫌に自分の頭に乗っている一樹の手を払いのけた。

一樹は冗談っぽく佐和子に払い退けられた手を痛そうに擦り、泣き真似をする。

佐和子はそんな一樹に冷たい視線を送る。

「・・・でもさ、もし・・・優駿に”女”がいたらどうする・・・??」

未だに冗談で手を擦っている一樹は不敵な笑みで佐和子に訪ねてみる。

その言葉を聞いた佐和子は一樹の言葉に瞳を大きくして驚いた。
一樹はそんな佐和子の表情を見て、聞いた自分が自分なのだが少し慌てる。

「・・・そうね・・・どうしちゃおうかしら・・・」

佐和子もまた、薄気味悪い笑みを浮かべると、手に持っていた白い花を力握りつぶす。
優駿に女・・・そんな吐き気がしそうなことを考えたら余計に手に力が篭っていく。

「この花のようにしちゃったらどうしよう・・・」

佐和子は握りつぶしてしまった花を見つめて小さく微笑む。
その微笑みは”悪魔”そのものだった・・・

怖いものだね、と一樹は佐和子の笑みを見た一樹は小さく笑う。

―――今の優駿が澪夜を抱いているとしったら、佐和子ちゃんどうするんだろうね・・・

一樹はあえてこの事を口にせずに、悪魔のような笑みを浮かべている佐和子を見つめていた。

佐和子の手の中にある花は、透き通ったような白い花びらがぐちゃぐちゃになりところどころ抜け散ってしまっており、茎の部分が数箇所折れてしまっていた。


佐和子によって潰された花は醜くなり、再び凛々しい美しい姿にはなれない・・・







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