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03'22(Wed) 不倫恋愛中毒依存症①―2
”人間”っていうものは誰かを愛せずにはいられない生き物だと思うの。

それはどんな時だってそう。

例え・・・結婚していても、子供がいようともそういう時はある。

その相手が・・・10歳近く年下の、まだ未来のある高校生だとしても―――・・・

* * * * * * * * * 


「ちょっとー、ママー!!ご飯まだぁ??有沙、お腹すーいーたー!!!」

「きゃぁー!!有沙ちゃんごめんねぇ、ママが寝坊しちゃったから・・・っ!!きゃっ、熱~い・・・」

「おいおい、ちゃんと気をつけろよ・・・」

「・・・はい・・・ごめんなさぁい・・・」

そう言うなら起してくれても良かったのに・・・
でも、まぁそれも無理か・・・

何も変わらない、いつもと同じような何も変哲もない日常風景。

朝早く起きて、ちゃんと歯磨きして、洗顔して、化粧水やファンデーションつけて、洗濯機回して終わったら干してから、朝ご飯を作る。

ただ、今日は少し違う。

目覚まし時計の調子がおかしかったから私が朝寝坊しちゃっただけ。
ただそれだけで他はなんの変わりもない。

これが、白樹雪姫にとっての普通の専業主婦の生活。

夫は白樹愁也。
大企業の重役として私と娘の生活のために働いてくれている。
夫の働きがあるからこそ、私達家族は普通の家庭よりは少し裕福な生活が送れている。

この生活があるからこそ、娘の有沙も私学の小学校に通えているのだから・・・

私は今の平凡で何気ないこの生活にちゃんと満足できている。
・・・多分・・・

「もぉ、ママったらホントにバカなんだから・・・今日は佑太がお迎えに来てくれるのよ!?」

「あら、それは申し訳ないことしちゃいましたねぇ・・・でもこの前は”卓也”君じゃなかったの??」

「卓也の次のお出迎えは4月16日よ!!明日は航で・・・あさっては・・・えーと・・・」

「まぁまぁ、有沙ちゃんは随分と男の子に好意を寄せられているのね。」

これも何気ない日常会話。

娘は私に愚痴や独り言を零して、私は娘の話を楽しげに耳を傾ける、夫は寡黙にモーニングコーヒーを飲んでる。

これが私にとっての”普通”

「・・・もう8時半か・・・」

夫が何気なく腕時計を見つめながら呟く。

「えっ・・・もうそんな時間なんですか・・・っ!?」

夫の言葉に慌ててリビングの時計に視線を移す。
時計の針はちゃんと8時30分を指していた。

「さて、もう行くとするか・・・」

夫はそう言うと椅子から立ち上がり、横に置いていた皮の鞄とスーツを手に取ると、そのまま脇腹に担いでリビングの扉の前へと向かっていく。

「えっ・・・でもトーストがまだ・・・」

「いや、俺は食べなくてもいい。」

夫はそう言うとそそくさと慌てた様子も見せずにリビングから出て行ってしまった。
・・・折角トーストが焼けそうなのに・・・

夫は少し私に冷めている。

・・・まぁちゃんとした恋愛結婚じゃなくて親が強引に進めたお見合い結婚で結婚したからかもしれない・・・


私は、高校卒業と同時に家出した姉の変わりに見合いをさせられた。
その相手が今の夫―愁也さんだった。

親は、2人の仲もそんなに悪くないからと言ってお見合いからなんと1ヵ月半で結婚をさせられた。

ちゃんと男の人とも正式に付き合ったことのない私には結婚はまだ早いし、それ以前に私はちゃんと愛し合った人と結婚したかった。

ちゃんと大きな恋愛をして、結ばれる・・・それが胸に秘めたおおきな夢だった。

愁也さんは嫌いじゃなかったけどはっきり言って愛のない結婚は嫌だった。

だけど・・・私の家では、親の命令は絶対。
私はそのまま流されたままに結婚してしまった・・・

愁也さんも多分同じだったと思う・・・

もちろん、男の経験がなかった私は愁也さん以外の男の人は知らない。
結婚初夜に初めて愁也さんで男の人の身体を知った私はその快楽に少なからず溺れてしまっていたのかもしれない・・・

そしてすぐに妊娠、出産・・・あまりに早すぎると自分でも思う。

だけど最近は愁也さんとも身体の関係が・・・ない。
寝室だって今は別々。

寂しい時は甘えたいけど、愁也さんに大きなバリアを張られてしまっているようで上手くは接せない。

でも思えば私と結婚した時から愁也さんは私に心を見せない人だったのかも・・・

少しは・・・この結婚に後悔の念があるけど、今の家庭は壊したくない。
必死で掴んでいる幸せを壊したくはない。

・・・あれ??

・・・でも・・・”幸せ”って・・・何??



「・・・じゃぁ。、行ってくる・・・」

「・・・えっ、あっ・・・はい・・・」

夫の声でハッと我に返った私は、寝坊してしまった事を後悔しながら夫の後姿を見つめていると、静かにドアがしまる音とが家中で虚しく響き渡る。

「・・・・あーあ、パパ行っちゃったね。ママが朝寝坊しなかったらこんな事にならなかったのかもしれないのに。」

娘が私に向ける一言一言がきつい。
つい最近始まった事じゃないんだけど、胸に針が突き刺さるような変な感覚。

「うぅーごめんねぇ・・・有沙ちゃん~!」

そうしているうちに今度は家のインターホンの音が鳴り響く。
インターホンの音の後に元気のいい男の子の声が聞こえてきた。

『有沙ちゃーん、迎えに来たよー!!』

「あっ、佑太だわ!!」

娘は取り巻き?の男の子が迎えに来たのだとわかると、瞳を輝かせてコップに注いでるオレンジジュースを一気飲み。

「じゃぁママ行ってくる!!」

「えっ・・・でもトーストが・・・」

「そんなのいらない!!」

娘は威勢のいい声をあげるとすごいスピードで玄関の方へ騒がしく走っていってしまった。
私はただ、茫然としているしかなかった。

・・・それにしても・・・
”そんなのいらない”って・・・結構酷い言葉ね・・・

私は深く溜息を吐くと、もうこんがり焼け上がってしまった2枚のトーストを見つめる。

「・・・どうしよう・・・これ・・・」

1つは私が食べるとしても、あとの1枚がどうしても残ってしまう。
このパンの始末方法を考えようとするとまた溜息を吐いてしまいそうな思いだった。

「ホントに・・・あっ!!!」

頭を抱えていた私のに、正にアイディアの神様が降りてきた瞬間だった。

* * * * * * * *


「う~ん・・・やっぱり晴れてるっていいかも~!!」

私は煌々と照りつける太陽の光を一身に浴びて大きく背伸びする。
それにここは2階のベランダだから景色も結構いい。

私はこの暑くも寒くもない、暖かい春の気温が心地良くて大好きだった。

「・・・さて、洗濯も干したし!そろそろ来る頃かなぁ~・・・??」

私は洗濯物が空っぽになった籠を手に、家の中に戻って2階から1階へと降りてキッチンへと戻る。

今朝、食卓に出した食器を全部洗ったのを確認すると、テーブルの上に置いている財布とバックとパン袋に入れた今朝の残ってしまったトースト1枚を手に取り、家を後にする。

・・・と、その前に家の庭に足を踏み入れてみる。

「・・・やっぱりいた・・・」

庭には少しぽっちゃりとした猫が丸まりながら大きなあくびをして日向ごっこを満喫していた。

おでぶ猫ちゃんが、私の存在に気付いたのか私の事をじぃと魅入るように見つめている。
私はそんな猫ちゃんに近づいていくけど、警戒しているのか猫ちゃんは私が近づくたびに少しずつ大きな身体を後ずさりさせていく。

それも器用に身体を丸めさせたまま・・・

「そんなに警戒しないでね~・・・いいものあげるから・・・」

私は警戒心丸出しのおでぶ猫ちゃんににっこり微笑みながら、パン袋に詰めた1枚のパンを取り出し、2・3個小さく千切って猫ちゃんに差し出す。

あっ、一瞬猫ちゃんの目が鋭く光っていたような気がする・・・笑

やっぱり体型もあるのか、猫ちゃんは威勢のいいことに私が千切ってあげたパンをあっという間に食べてしまった。

っていうより焼けたパンでも食べれるんだ・・・私はまた猫ちゃんに食べさせてあげようとパンを千切ろうと思ったその瞬間だった。

「に"ゃ~~~~!!」

「・・・きゃっ!?!」

あの猫ちゃんが私に飛び掛ってきたかと思うと、いつの間にか私の手からパンを奪い取っていた・・・

突然のことで茫然としていた私に、猫ちゃんがパンを口に銜えたまま、私の方をちらっと見て優越感に浸っているかのような笑みを見せた。・・・ような気がした。

猫ちゃんはそのまま、どこかに行ってしまった。
・・・やっぱり猫は気ままだね・・・

私はそんな暢気な事を考えながら、青い空を見上げ天を仰ぐ。

空の清々しい青に自然と心が癒されて気分が高まる。



「・・・なんか今日はいいことがありそうだなぁ・・・さて!買い物行こう!!」

その言葉とは全く逆に、人生最悪の出会いが私に待ち受けているとは思いもしなかった。

買い物に行った事を後悔することになるなんて誰が分かってた??



この人生最悪の出会いが・・・激しく燃え上がる許されぬ禁断の恋の始まりだなんて誰が気付いてた??






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(*´∀`*)ノ


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