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04'08(Sat) 悲恋歌③―5
「・・・優駿様・・・」

優駿は耳元で囁かれた甘い声に重たい瞼を開いていく。
未だにはっきりとしない意識の中で自分の視界に広がる光景を見つめる。

暫らくしてから少し意識がはっきりしてきたのか、優駿はある異変に気付く。

さっきまで自分の隣で寄り添って眠っていたはずの澪夜がいなかった。
彼女を抱きしめ、互いの体温の心地良さを感じながら体力の使いすぎからくる気樽さと疲れから解放されるように眠りに付いたはずなのに・・・

優駿は顔をキョロキョロさせてあたりを見わたす。
すると自分の耳元の近くで小さな笑みが零れたのを耳にした彼は、その方向へと視線を移す。

そこには口元に手をあてて笑みを零している澪夜がいた。
彼女は一糸迷わぬ姿のまま布団にいる優駿とは違い、きちんと着物を纏っていた。

「優駿様、おはよう御座います・・・」

あくまで寝起きの優駿はしばらくボーとした表情で小さく笑みを零している澪夜の顔を暫らくじっと見つめる。

「あら、まだ寝惚けていらっしゃいますの??」

「・・・澪夜・・・??」

優駿はやっとちゃんとした意識を取り戻したのか、瞳の前の澪夜にぱっちりした瞳を丸くさせる。
そんな彼に未だに笑みを浮かべる澪夜。

「改めておはよう御座います。」

澪夜は笑顔を含みながら寝起きの優駿にそう言うと、きちんと畳まれた優駿が着ていた洋服を差し出す。

すると畳んだ洋服の上においてあった優駿の赤いネクタイがスルリと澪夜の腕を掠めて落ちていく。
あ、と声を上げネクタイに手を伸ばす澪夜だが、それを受け止めたのは優駿だった。

小さく謝る澪夜に微笑みながら彼女に差し出された洋服を受け取ると、素早くそれを纏いだした。



「あ・・・お待ち下さい。」

あっ、という間にあとネクタイを結めば・・・というところまで自分の洋服を着用した優駿を澪夜が呼び止めてしまう。
澪夜に呼び止められた優駿は頭に?を浮かべた表情で彼女を見る。

「・・・それ・・・お貸しくださいませ・・・」

「それって・・・このネクタイ・・・??」

優駿の言葉に澪夜は首を縦に振って頷く。

「・・・え・・・でもこれをどうするんだい・・・??」

「実はずっと結びたいと思っていたんです。」

「・・・君もなんだか物好きなもんだね・・・」

そう言って微妙な苦笑する優駿は自分が持っていたネクタイを微笑みを絶やさず見せる澪夜に渡す。

優駿からネクタイを差渡された澪夜は満面の笑みを見せる。
遊女として男をとことん知り尽くし、外見が普通の少女よりも熟されて大人びいていようとも澪夜は何等変わらない16歳の少女だ。
無邪気に見せるその笑みはまるで幼い子供のような愛らしさがあり、優駿はそんな1面を見せる彼女に少しながらも胸がときめいてしまった。

彼はそんな自分に思わず赤面する。
澪夜は頬を真っ赤にしている優駿の顔を不思議そうに見つめる。

「・・・優駿様・・・??」

「あ・・・いや、なんでもないんだ。」

優駿はそう言い、自分の顔を真剣に覗きこんでくる彼女から視線を逸らす。
澪夜はそんな優駿に顔を顰めながらも彼にネクタイを結んでやろうと、カッターシャツの襟に赤いネクタイを通していく。

そこまではよかったのだが、ネクタイを結ぶとなると手古摺ってしまう。

澪夜はなかなか結べないネクタイに真剣な顔つきになってゆく。

「・・・澪夜・・・」

「・・・はい・・・??」

「結べないんだったら無理してしなくてもいいんだよ・・・??」

優駿のその言葉に澪夜の返答はなかった。
ただ、むずべないネクタイと睨めっこしていて。

結局優駿は真剣にネクタイを結ぼうと頑張っている彼女に付き合うことになった。




澪夜がネクタイを結ぼうと頑張ってからどれくらい時間が経ったのだろうか・・・
流石の優駿も体勢を保つのが辛くなってきた。

「・・・澪――・・・」

「ふぅ・・・できた・・・!!」

彼女を呼び止めようとした刹那、彼女から満足げな声が上がる。

「はい、優駿様お待たせしました。」

ちゃんとできましたわよ。そう言う彼女の笑顔を見て、手探りでネクタイが結ばれたのか確かめる。

どうやら彼女はネクタイ奮闘の末に勝ったらしい。

「・・・有難う」

優駿は微笑みながらそう言うと澪夜も優駿に微笑み返す。

「それにしてもあれですわね・・・米利堅(今のアメリカ)の服の仕組みは難しいですのね。」

澪夜は優駿の纏っている洋服を嘗め回すように見つめる。

「僕は・・・父が明治の時代に入ってからはこういう洋服しか着ないから、僕も着ているだけで・・・慣れればそうでもないけど??」

「私は最近着物しか着ないので余計にそう思うだけなのかもしれませんが・・・」

「僕は洋服よりも着物のほうが大変だと思うけどね。」

優駿はそう言うと澪夜に微笑んだ。

「・・・じゃぁ今日はこの辺で帰るとするよ・・・」

「あ・・・じゃぁ私途中まで送り出しますわ。」

澪夜は部屋の襖を開けた優駿の隣まで歩み寄って行く。

「え・・・店から出ても大丈夫・・・??」

「たまにはいいと思います・・・それに他の遊女の方々は普通に店を出入りしているのに私だけいけないって訳じゃないですのよ??」

そう言われたらそうか、と優駿は少し苦笑する。

「・・・それに私、1度で宜しいから優駿様と外を散歩してみたかったのです・・・」

澪夜はそう言うと優駿の肩に頭を預ける。

「・・・1度じゃなくたってこれからもしていけばいいんじゃないかな・・・??」

優駿はそう言いながら自分に寄りかかっている澪夜に微笑みかける。



―――・・・1度じゃなくたってこれからもしていけばいいんじゃないかな・・・??

その言葉が澪夜のなかで優しく響いて、彼女にとって心地良かった。




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