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04'13(Thu) 悲恋歌④―1
予告していた通り、第4廻は折檻暴行ネタがついてくる予定です。
申し訳ありませんが苦手な方は閲覧を控えてください。






―――優駿様、今宵の月はなんだか大きくて・・・赤く輝いていますのね・・・

―――・・・あぁ、本当だ。

―――・・・昨日は普通の満月でしたのに・・・どうして・・・??

―――・・・??

―――昨日の月は綺麗でしたのに・・・

―――・・・今日の月は綺麗じゃないの・・・?

―――・・・なんだか嫌なんです・・・赤い月・・・


    
   なんだか・・・その赤が狂気に満ちているように見えて・・・
   嫌な事が起こりそうだから・・・



「椿ー、入っていいかしら??」

襖の向こうから聞き慣れた者の声が聞こえ、澪夜は自分が手にしている本から視線を外し、襖の方へと振り向く。

「はいー、どうぞ。」

澪夜は襖に向かって声を上げると、襖が自動的に開かれた。
襖の向こうから出てきたのは御苑だった。

御苑は澪夜の部屋の畳に足を踏み入れると、開けた襖を静かに閉めて本を静かに読んでいた澪夜の方に寄って行く。

「・・・ねぇ、”薬”、貰っていい・・・??」

御苑は本を読んでいる澪夜に、顔の前でパンッと音を立てて手を合わす。

「・・・ええ、いいですよ・・・??」

澪夜は御苑に笑顔を向けると、御苑は有難う、と彼女に一言言うと部屋の隅にある小さな鏡台の前まで移動して、小さな鏡台の小さな引き出しを引く。

「・・・またお客さんが来たんですか・・・??」

「うん、そうなのよー、でもこれって時に切らしちゃってたから参ったわよ・・・ホント・・・」

御苑は苦笑いを漏らしながら小さな引き出しの中に視線を落とす。
彼女が引いた小さな引き出しには赤い包み紙が埋め尽くされていた。

御苑は赤い包み紙の膨大な量に瞳を真ん丸とさせる。

「・・・へぇ・・・こんなに余ってるんだ・・・」

「ええ・・・」

御苑の言葉に澪夜は小さく相槌を打つ。
そんな彼女に御苑は眉を顰める。

「・・・あぁ、そうよね。最近はこんな薬使わなくてもいいもんね、椿は・・・」

御苑は悪付くようにそう言ういながら引き出しの中から3つほど赤い包み紙を手に取る。


御苑が手に取っているこの赤い包み紙は避妊薬だった。

男に身体を売って生活するここの遊郭にいる遊女なら誰でも持っている。
間違っても商売最中に男の子供を身籠らないためだ。

遊女も女だ。

愛してもいない男に身体を売る事も仕方なしというのに、愛してはいない男の子供を身籠る事はこの上ない屈辱だ。
それにそうなるとしたら商売にも師匠をきたし兼ねないのだ。

しかし極稀にだが、この薬を飲んでいようとも妊娠してしまう遊女が出てきたりもする。
だが、この薬を飲まないには限らない。
だから遊女はいざ本番という時に必ずと言っていいほどこの薬を飲むのだ。

それが大量に余っているという事は、その薬を使う必要がなく、使っていないという事だ。

「・・・優駿君って人でしょう・・・??」

御苑の口から出てきた人物の名前に毒付かれたようにハッと驚きの表情を見せた。

「やっぱりあの少年の存在なんだねー・・・」

「・・・」

御苑の言葉に澪夜はすっかり黙り込んでしまう。

”澪夜が宮嬢優駿のお気に入りらしい”という噂が遊女の間で広まり始めると、彼女の身体を求めてくる男の数が急激に減ってしまった。

いや、「いなくなった」と言ってもいいくらいだ。

優駿と言えば華族の中でも地位の高い宮嬢家の若き跡取り息子だ。
宮嬢の名はそれほど高価なもの。
きっと身分の高い優駿の存在が、澪夜から悪い虫共を完全に払ってしまっているのだろう。

そのため自分の身体を求めてくる男がいなくなってきた。
だから澪夜にはその薬は必要なかった。

どっちにしろ、そっちの方が澪夜にも優駿にとっても都合が良いのには変わりないことだ。

「優駿君との時はこれは使わないんですか・・・」

「・・・」

御苑の言葉に今度は無言を通さずに澪夜はこくりと小さく頷く。

「・・・愛している人には・・・それは使いません・・・」

そう言う澪夜の瞳は真剣だった。
その言葉と瞳に御苑は不敵のような笑みを小さく漏らした。

「そっかぁ・・・あくまでもあの少年といる時は”遊女の椿”じゃないんだ・・・」

御苑は鋭い視線で澪夜を見つめた。
しかしその鋭さもすぐになくなり、いつものような柔らかい瞳に戻る。

「まぁ・・・前々から分かってた事だから今更咎めるつもりはないよ・・・椿が決めた事だし・・・」

御苑はそう言うと澪夜の頭をポンッと軽く叩く。

「・・・でもね・・・私達はあくまでも遊女なんだよ・・・??他の人間とは明らかに違う。身体を売っている汚い女だ。
だから、後からたくさん傷ついて哀しい想いをすることがあること、覚悟してその人の事を精一杯愛しなさい・・・??」

そう告げる御苑の瞳はあまりにも強くて、真剣で、どこか哀しかった・・・

そんな御苑の瞳に魅せられてしまったかのように澪夜は食い入るように見る。

「まぁ・・・そういう事、じゃぁ薬有難うね・・・」

御苑は澪夜に笑顔を振りまき、手を振ってこの部屋からあっけなくなっていってしまった。


再び部屋に1人になった澪夜は未だにあの御苑の瞳を忘れられずにはいられなかった。
強くて、真剣で、どこか哀しかったあの瞳・・・

澪夜に言いながらも自分に言い聞かせているようなあの言葉・・・

澪夜は御苑がどういう体験をしたことなど知りもしなかった。
御苑が、一樹に密かに好意を寄せ、彼の子供を身籠ったが堕胎してしまったこと・・・など知りもしなかったのだ。

だからこそ、御苑がどういう気持ちになってあの言葉を澪夜に言ったのかも分からなかった。

ただ、彼女が辛い経験をしたことだけは察した。

「・・・なんだ、暗そうだな・・・」」

御苑の気持ちを考え、本も読まずに暫らくの間無言になってしまっていた澪夜の耳に誰かの声が入ってきた。

彼女は声のする方に振り向く。
そこには、着物を着た長身の端麗な男が襖に凭れ掛かっていた。

「・・・西園寺さん・・・」

澪夜はその男を見るなりはっと息を飲む。
男―西園寺は澪夜の驚いた顔を見るなり一瞬の間だけ小さく笑みを零した。

澪夜と西園寺は互いに見つめ合うような形になっていたものの、澪夜が西園寺を見る視線には”嫌悪”そのものが孕まれていた。

「・・・何しに来たんですか・・・??」

「・・・俺がココにくる理由は1つしかないだろう・・・」

西園寺は澪夜の驚いた表情を見るなりゆっくりと微笑む。

その微笑みからは優しさなどは感じられず、冷たさが纏われている。


澪夜はその冷酷な微笑みに気のせいか背筋が凍りつき鳥肌が全身に立つような感覚に襲われる。

いや、気のせいなんかではなかった・・・

「・・・今日も俺を楽しませてくれよ・・・??」

西園寺はそう言うと未だに澪夜に微笑みを見せていた。


―――とても冷酷で・・・少し楽しげなその瞳には、ただ自分を嫌悪の視線を向ける澪夜しか映しだされていなかった・・・





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